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「ありがとう。やっぱり異国の妖だったのね…
でもどうして異国の妖が…
あ、太裳。助かったわ、悪いけどこれをお家に戻して…」


持っていた書物がばさばさと音を立てて床に落ちる。
早苗はいまどうなっているかが分からなかった。


「たい、じょうっ」


この状況をなんと説明するのだろう。
目の前には端正な顔。しかもものすごく近い。
おでことおでこがぶつかっていて、早苗は体が熱くなるのを感じた。


「まだ、熱がありますね。
あまりご無理をなさいませんよう。ここに来るまでずいぶんと心配しましたよ。」


触れていたおでこが離れて行く。
ふぅ…っと息を吐いたのもつかの間、突然体が宙に浮いた。


「早苗様、今度こそお休みください。」


早苗を軽々と抱き上げた太裳は、褥に横たわらせ単をかける。


「太裳、ちゃんと休むから…おじい様のところに帰っていいのよ?」


「早苗様がお休みになるまでここにおります。
そんなに心配しなくても、晴明様のおそばには天一や天后がおりますゆえ。」


「あ、ありがとう…」


にこりと笑う太裳は早苗のそばで静かに座っている。
限界だったらしい身体が、不調を訴えてくる。
薬も効いてきたようでものすごく眠い。


「おやすみなさいませ、早苗様。」


次の朝、目覚めてみると太裳の姿と山海経はなく、熱もすっかりひいていた。


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