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「おはようございます、彰子様。」
「早苗、もう具合はいいの?」
心配そうな彰子の足元では牡丹がこちらを見上げている。
「はい、すっかりよくなりました。」
「よかった。昨日はね、ずっと牡丹がいてくれたのよ。」
「ありがとう、牡丹。」
手を差し出すと、肩に上ってきた。
にゃーん、と顔にすり寄る様は、普通の猫のようだ。
「ふふっ。やっぱり落ち着くのねぇ。」
明るく笑う彰子。
この様子からは妖異を恐れていないようだ。
いや、実際恐れてないのだろう。
気を集中させてみると、異国の妖魔の妖気も感じられない。
「早苗、こっちへ来てちょうだい。」
たぶん、昌浩やもっくんも彰子を狙う妖異が異邦のものであることに遅かれ早かれ気付くだろう。
自分と違って、昌浩は行動が出来る。
ならば一刻も早く倒してもらわないと困るのだ。
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