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どうして気付かなかった。
彰子姫を守るために自分がいる。


「それでね、圭子様の母君に文を出して…さっき帰ってきたのだけど…」


彰子の持つ文は乱れた筆跡で書かれている。
とても女性が書いたものとは思えないほど、乱れていた。


「圭子様、寝込んでいらっしゃるんですって。
圭子様のお見舞いに行こうと思うんだけど…一緒に来てくれないかしら?」


「それは…圭子様のことも気になりますから…ご一緒します。
でも、その法具とここの結界をおじい様に直してもらいましょう。」


「そうね、でも圭子様が先よ。」




本心を言えば、自分のことを先に案じてほしい。
確実に彰子は狙われている。
彼女は当代一の見鬼の才を持っている。その力は晴明や昌浩をもしのぐ。
故に、妖魔に狙われやすい。


「早苗、出来るだけ早い方がいいわ。」


「わかりました。占っておきましょう。
ただ、道長様にお許しをちゃんともらってくださいね。」


「分かったわ。」


早苗は部屋に戻り、占いの準備を始めた。
そして、明々後日に圭子姫の見舞いに行くことが決まった。


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