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「姉上は?」
案の定怒られてしまうがここまで来てしまったのでもののけも昌浩も呆れというより感嘆の声が混じっている。


「言ったら止められるから…ないしょで出てきた。」


その言葉に絶句するもののけと昌浩。
早苗は仮にも陰陽師の家系の娘だ。
少なくともこの内裏の陰陽寮のものよりも確実に力はある。
言い方は悪いが、その安倍の娘の監視下から逃れてきたのだ。
なんという行動力と、勇気…



「と、とにかくもうすぐ姉上が来るだろうから…姉上と一緒に帰って…」
「いやよ、連れて行って。」

そんなやり取りが続くが、昌浩の口調がだんだんと強くなる。
「だめったらだめだ。彰子がいたら足手まといになる!」


彰子の瞳が大きく揺れる。
泣きそうなのを我慢してうつむく。
これでは埒があかない。
そう思った瞬間、背中がぞくりとした。
もののけが何かを威嚇するように闇に身構える。



怪しい風と瘴気とともに現れたのは圭子姫。
後ろにはふたつの妖異を引き連れている。
「あらあら、彰子様。こんなところまで参られて…これからお迎えにまいりましたものを。」
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