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「あれ、は…」
大きな二つの影。その一匹には彰子姫と、つい最近見舞いへ伺った少女。
その少女、圭子は常人には耐えられない瘴気を放っている。


「彰子様っ!」
その声が聞こえたのか圭子がこちらを見てにやりと笑った。
「早苗、彰子様のご意思よ。使えるものなら主人の意思に従いなさい。」





彰子はというと気を失っているようでぴくりともうごかない。

『なるほど、主人を探して外へ出てくるとは、なかなか胆の据わった女房よ。
お前からは力を感じる。あの方士と同じような。』
『いずれは障害となるであろう力。生かしてはおけぬ。』


あの二つの妖は山海経でみた鶚と鵔。
圭子姫に憑いていたのはこの二つの妖異。



『どうする、鵔よ。』
『主人の身がこちらにある以上、手出しは出来ぬはず。あの女房の力をみすみす逃すのは惜しい。』
『ならば…』
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