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『女房よ、主人の命、今ここでたたれたくなければ我らに従え。』


「何を…」
くつくつと嘲笑う二つの妖異は彰子姫をつかむ圭子姫の髪を強く引く。

「っ…」
彰子姫が苦しそうにもがいた。




「あ、彰子様…っ」
彰子姫の命を守らなければならない。だからここで逆らうのは、彰子姫の命がないのと同然。


それならば、奴らの目的地まで行って隙をみて取り戻さなければならない。


早苗は覚悟を決める。


「私を…姫様と共に連れて行きなさい。」
『くっくっ…分かっておるな、女房よ。』
そういうと片方の妖異が早苗のもとに降り立つ。
『女房よ、変な真似をせぬよう、しばらく眠っていてもらおう。』



そこから早苗の意識は途切れた。



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