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□近くて遠い……
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俺の兄は、とっても自慢の兄だ。


ボーカロイド、いや、VOCALOIDとしての役目である『歌』がとても上手い。

低い声から、高い声、バラードにロック系などもこなせる。

まさに、自慢の兄。


日常生活だって、すごく自慢できる。


他人を優先的に見て、いつも笑顔で何かと手伝ってくれる。

親切で、心配りもすごく良くしてくれる。




こんなひねくれた自分とは、大違い。

俺、鏡音レンはというと。


いつも他の人に迷惑をかけてばっかりで、足を引っ張ってばっかり。

気遣いもできないし。

何より、歌に自信が持てない。

『鼻声』で歌ってしまうし、いろんな所でミスをしてしまう。


カイ兄とは、大違いだな…。






僕には、自慢の弟がいる。

名前は鏡音レン君。


いつも、優しくて、気遣ってくれる。

メイコさんが途中で飽きてしまった花に、今もなお、水を与え続けている。

それは、僕以外誰も知らない事だろう。


メイコさんが一度捨てた花を、愛しそうに、裏庭に埋めて育て続けている。

僕は洗濯物を取り込んでいるとき、偶然見つけた事。

レン君は僕に気づいて無いけど、それでいい。

そんな優しさも、愛しい。


今となっては綺麗な花を咲かせた。

それを眺めるのが、僕にとっても幸せ。


それに、レン君は、歌がとっても上手い。

恋の歌を綺麗に歌う。

噂に聞く、『マセレン・ツンデレン・イケレン・ヘタレン…etc』などを全て一人でこなしている。

すごいと、思う。


でも、僕は……。

自分自身、全部に自信が持てない。





でも、俺はそんなカイ兄が大好き




でも、僕はそんなレン君が大好き




気づいて欲しい




気づいてくれるかな




無理だってわかってる




そう、だって僕はレン君と同性




カイ兄は、普通に女の子が良いに決まってる





((どうしたら、気づいてもらえる??))





近いようでとっても遠い、二人の距離

今のままだと、近づけない
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