これが本当に最後になるだろう。
そう、本当の最後だ。
これからは私も忙しくなり、やらなければならない事も多くなる。
これまでのように、のうのうと毎日を怠惰に過ごし、葛藤し、愛しかった人を想う事はできなくなる。
これまでの私は死に、新たに私が生まれる。
これで幾つ目の私だろう。
数える事はいつの間にか止めてしまっていた。
自分が自分であると、いつの間にか証明できなくなってしまった。
ただ変わらないのは私が臆病だという事実だけだ。
結局は自分勝手に愛し、自分勝手に散り、自分勝手に笑顔を取り繕って別れを告げた。
無理に明るく振舞うのは相手の為じゃない。
そうして自分を騙し、自分の気持ちから、自分の中にある悲しみから目を背けたに過ぎない。
これまでの事に意味は在ったのだろうか?
私は、そう、逃げ続けていれば失わずに済んだのではないだろうか?
なぜ、立ち止まり、踵を返し、立ち向かってしまったのだろうか?
臆病なくせに逃げずに立ち向かうなど、初めから向いていないのだ。
なのに、何故、自分の気持ちに向き合ってしまったのだろうか?
何故、愛しい人へ気持ちを伝えてしまったのだろうか?
今では後悔ばかりが残る。
嗚呼、愛さなければ良かったと。
出会わなければ、愛しい人へ苦しみを与える事もなかったのに。
しかし、出会ってしまった。
後悔している。
自分が存在していた事に。
自分を仕向けた運命を怨みたい。
だが、本当に怨みたいのは彼女の方だろう。
私を怨みたいに違いない。
いや、私を怨んでいるだろう。
失敗だった。
何もかもが。
私は何処で選択肢を間違ったのだろう。
中学の時だろうか?
高校の時だろうか?
それとも今だろうか?
もう答えは出ない。
出すことは許されない。
もう、この気持ちは消えていくのみである。

もう、彼女に逢う事はない。
物理的に逢ったとしても、だ。
次に逢った時、私は私ではないだろう。
まるで別人の私だろう。
そう、私であり他人の私だ。

最後になるが愛する人の、愛していた人の幸せを願う。
これが、私が私でいられる時の最後の言葉だ。

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