●怖い噺 六


□星を見る少女
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ある晴れた夜

自分の部屋に帰ろうとアパートの階段を上っていた青年が、向かいのアパートの窓際に少女が立っているのに気づいた

少女は空を見上げている

青年も空を見上げてみた。満天の星が輝いている

あの子もきっと夜空の美しさに見とれているのだろう

少女に微笑みかけてみたが気がつかないようだ。少しがっかりして青年は自分の部屋に入った

次の日の夜も、少女はまったく同じ体勢で星空を眺めていた

そんなに星が好きなんて、ロマンチックな子だなと青年は思った。初めて会ってからまだ2日目なのに青年はすっかりこの子を好きになってしまった

その翌日は、雨だった

家に帰る足取りも重い。こんな天気では、あの子も空を見てはいないだろう

しかし彼女は、その日もまったく同じ姿勢で空を見上げていたのだ

今日こそ話しかけてみようと青年は思った

そして向かいのアパートに行き階段を一気に駆け上がって彼女の部屋の前に立つ

ノックをしたが返事がない。厚かましいと思ったがドアのノブを回してみた

鍵はかかっていなかった。少しためらってからドアを開け室内を見た

青年はすべてを悟った

女の子は、確かに窓際にいた

だが、立っていたのではない。窓枠にロープを縛りつけ首を吊って死んでいたのだ

−終わり−

死体に恋…なんてロマンチックなんだ
最近の死体は 生きている時に加工された物をよく食べているからソレが防腐剤の代わりになって中々腐乱しないんですよね…

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