●怖い噺 六
□夜の学校
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クラスメイトのA君はかなりおかしい
そう気付いてから数週間が経った頃、俺の学校には学園祭が近付いていて女子に命令されて衣装係になった俺とA君は学園祭の準備の為に居残りをしせっせと針仕事を頑張っていた
A君はブツブツ文句を言っていたが、やはり女子の命令には逆らえないらしく衣装を縫っている。そのうちにあたりは真っ暗になり時計は夜9時を指していた
「そろそろ帰ろうか」衣装も大分出来上がり時間も時間なので俺はA君に声を掛けた
だがA君はニタリと笑うと「キミはほんとに馬鹿だな」と暴言を吐いた
ムッとして「なにがだよ」と言い返すと
A君は気味悪くニタニタ笑って「折角夜の学校なんて御誂え向きな場所にいるのにさっさと帰るなんてバカバカしい。ホラ行くよ」と恐ろしいことを言い切り、俺の手を引っ張った
そこで嫌だと言えないのが俺の駄目なところで引かれるまま俺は夜の学校の散策に出掛けた。A君の進む先を見て俺は嫌な予感がした
俺の学校には旧校舎があり、図書室と視聴覚室のみが時たま使用されそれ意外は普段はあまり使われていない。故に夜なんかはかなり気味悪い
しかも隣りにはA君。どうしようもなく怖いがやはりA君は旧校舎に向かった
「やっぱり帰らない?」と一か八か声を掛けるがアッサリ無視されA君は旧校舎に入って行き俺もそれに続いた
問題の旧校舎は暗くてすごく不気味だ床はギシギシ言うしガラスはヒビ割れてるし作者なんかとっくに卒業してるであろう飾りっぱなしの書道作品も気味悪い
俺ははずかしながら半泣きだったが、A君はズンズン進む。そしてある教室の前で立ち止まった
「ココ、面白いね」
A君の長い前髪から覗く目が弧を描いた。ヤバイと思ったがもう遅い。A君はガラリとドアを開け床を軋ませながら中に入る。俺も恐る恐る後に続く
中は普通の教室でずらりと机が並んでいた
やはり書道作品や絵が飾られている。しかし特に嫌な気配はしない。むしろ俺はいつの間にか降り出していた雨が気になっていた。古い校舎に雨粒が当る音がする。傘持ってくればよかったなあと呟いたときA君がケタケタと笑った
「ココはほんとに面白いよ!!!ちまちま針仕事した甲斐があった!!」
俺にはサッパリわからなかったがA君には相当楽しい場所らしい。俺はA君のほうが気味悪くなって廊下に出た
すると、洗面台と鏡があった。何気なく鏡を覗くと後ろの誰かと目が合ってドキッとしたがそれは背後の窓ガラスに反射した俺だった
ホッとして振り返りそろそろ本気で帰ろうとA君のいる教室に入った途端俺は気付いた…ガラスに反射した自分とどうやって目があうんだろう
「A君!!!!!帰ろう!!!!!」
俺は全身に冷や汗をかきながらまだケタケタ笑っているA君を引っ張って走った。怖くて怖くて仕方なかった。A君は相変わらず笑っていた
旧校舎を出ると雨は上がっていた。A君はまたブツブツと文句を言っている
「キミのせいで半分も楽しめなかった。面倒な針仕事を頑張ったのに意味がないじゃないか」
「まあまあ。雨も上がったし、タイミング良かったじゃん」
俺はA君を宥めにかかるが
「キミはバカだろう?何を言ってるんだ。雨なんか降ってないじゃないか。」
と、キョトンとして言った
「何言ってるんだよ、あんなに激しく雨音が…」
そこまで言って怖くなってやめた。現にあれだけ雨音が響いていたにもかかわらず道には水溜まりひとつない…ならあの音は何なのか…もう考えたくもなかった
「ズルいよ。キミばっかり良い思いをしやがって」
A君は更にブツブツと文句を言っていたが俺はもう相手にする気力もなかった
次の日、あまりの衣装の出来上がりの悪さに俺たちは衣装係を外されもう夜まで居残りすることはなくなった
−終わり−
夜の学校は魅力的
怪談の材料がごろごろ♪