●怖い噺 六


□廃墟病院
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俺が高校3年の夏休みにとある病院の廃墟で奇妙な体験をした

そのころ廃墟巡りが俺たちの中で流行り
夏休みは廃墟巡りをして楽しんでいた

メンバーは俺と同級のやつと先輩二人
先輩は免許を持ってることで車で県内の廃墟スポットをしらみつぶしに回った

夏休みも終盤になり廃墟の病院があるという情報を入手し
俺たち4人はいつもの様に探索することになった

ただ夜は危険ということもあり
(お化けよりも物理的に危険な人達が)
昼間行くことになった

俺たちは昼頃集合し
昼飯を食って車で1時間程度走ったところにある病院の廃墟に到着
時間は3時くらいだったろうか

そこは国道から一本道を入った奥まったところにあったが周りには民家もけっこうあり
それほどイヤな予感はしなかった

廃墟は3階建ての比較的大きな病院だった

案の定ガラスはすべて割られ
ところどころに落書きがされていたが
昼間と言うこともあり怖さというものはまったくなかった

先輩が「なんか楽勝じゃね?二組に分かれて探索するか」と言ったので俺は同級の奴と回ることにした

まずは俺らが先に入ることになった
一階を回り2階へ上がったところで外で待っている先輩に合図
続いて先輩が建物の中にはいる

さすがに病院なので薬の瓶や残されたカルテなど異様な雰囲気をかもし出している

所々に置いてある棚を開けては
わーわー騒ぎながら2階を制覇
そして三階の広くなったところで先輩を待つことにした

10分して先輩と合流
上まで上がってきた間の部屋の様子を話して3階を先輩と回ることになった
昼間と言うこともあり日もけっこう差し込み建物の中は明るく怖いという感覚はそれほどなかった
むしろ物足りない気持ちだった

そろそろ戻ろうかという時
先輩が「おまえら、俺らが下に降りるまでここにいろ。降りたら下から合図するからそしたら降りてこい」と言った
物足りない俺には楽勝だったので「いいですよ」と言ってそれに答えた

まあ上がってくるときに一通りの部屋は見たし、階段降りるだけだからそれほどかからないだろうと思った

10分くらいたち下の方から「おーい、降りてきていいぞー!!」と声がかかった

同級の奴に「じゃあ行くか!」と言って階段をゆっくり下りていった
普通に1階に降りていくだけなら1分とかからない

特に何もなく1階に降りきったが
実はまだ地下があった
1階の階段を下りきりUターンする形で裏側に回ると地下に降りる階段がある

どうやら先輩も地下に降りたから時間かかったようだ

さすがに地下ともなると真っ暗で懐中電灯を使って二人で降りていった

地下はそれほど広くなくコンクリートうちっぱなしの5mくらいの廊下
突き当たりの左右には部屋がありそこまで行って中を懐中電灯で照らしてみた

右側の部屋はどうやら機械室のようで空調や配水管等のパイプがはりめぐらされていた

左の部屋は畳が敷いてある6畳ほどの部屋だった
なんでこんな場所に畳の部屋があるのか疑問に思いながら地下を後にした

1階に戻り外でまつ先輩のところに行った

先輩に「特に何もなかったですね。地下の方いきました?」と尋ねてみた
先輩は「おう、行ったよ。上に上がるときに気になってたんでちょっと行ってみた」
どうやら先輩もその地下に行ったようだ

先輩が「普通に機械室みたいなのとソファーが一個置いてあるコンクリートうちっぱの部屋だったな」と言った

すかさず俺が「えっ?畳の部屋じゃなかったですか?」と言ったが
先輩は「いやコンクリートの部屋だった」と主張

先輩二人と俺ら二人の見た物があまりに違うものだったので底知れぬ恐怖を感じ
もう一度確認するという考えも思いつかずその場を後にするのだった

幾月か経ちバイト先にその廃墟に行ったことがある奴がいたので地下の話をしてみた

そいつの話では地下の廊下の突き当たりにドアがありそれを開けると機械室があったという

そして突き当たりの左右には部屋はなかったと言われた

俺たちが見た畳の部屋やソファーの部屋は何だったんだろう

しかも地下の部屋の構造までかわっている

今思い出すと地下には一つも落書きがなかった
それ以外の階は落書きがびっしりあったが
これも何か理由があるのだろうか

残念ながら今ではもう廃墟も取り壊され確認することが出来ないが未だ疑問が残る廃墟だった

−終わり−

廃墟はどこか人を寄せ付ける魅力があるみたいですね
あぁ寄せ付けられるのは人だけとは限りませんか…

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