●怖い噺 六
□神社は見つからなかった
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かなり昔の話になる
家の裏にある山の中の獣道をたどっていくと神社があった
そこはいかにも寂れたって感じの神社でボロボロだったし賽銭箱も無く
そもそも扉すら無かった
周囲は鬱蒼と茂った森で夏でも涼しく
かついつだって異様なほど静かだったからテスト勉強なんかをするときはそこまで折り畳みの机を運んで行ってた
高校二年の秋、いつものように落ち着きたくてそこの神社に入ると
お堂の奥に何か白いものがいた
近寄ってよく見てみると、真っ白い人みたいな犬としか表現できない何かがいた
珍しい動物だろうから帰ったら調べてみようと思って携帯を開いた瞬間
そいつは口を大きく開いて「キュー」とか「キャー」とか「ヒャー」とかそんな感じに鳴いた
甲高いというか頭に突き刺さるような嫌な声だったから慌てて声が聞こえなくなる場所まで逃げたんだが
それでも気になって神社にもっかい行こうとした
ところが、いつものように通っていた獣道が見つからない
探せども探せども、獣道どころか山の中を探しまわってもそんな神社は見つからなかった
家族や知人に聞いてみたが
幼稚園時代からの友達の1人以外はそんな神社なんて知らなかった
それからもあの場所を諦めきれず
ついでに置いてきた机その他の回収になんども足を運んだけれど、結局数年経った今でも見つけれていない
ただ一回だけ、山を歩いている最中に遠くの木の上にいる白い何かを見かけたことはある
もしかしたら、あの神社はそいつの場所だったのかもしれない
−終わり−
山や神社には色々なものが住みついていますからね
他人の住みかは荒らさないように