●怖い噺 七


□爪きり
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夏の事なんですけど暑い中、客が来るということで家の掃除をしていました

そして押入れの整理に移ったんです

押入れの中からはいろいろ物が出て来て手に取ってはついつい懐かしむ…そうやって片付けは長引きました

一人暮しなんでまぁ出てくるっていっても知れたもんですが、その中にとても綺麗な模様の木の箱を見つけました

何だろう?と思いつつ開けてみました

中には大きめの爪切りだけが入ってました

自分はこんなものしまった記憶はないので、とても不思議でしたがそのまま押入れのそとに出しておくことにしたんです

その夜、友達が来ました。せっかく片付けた部屋はあっという間にちらかりました

しかし自分は友達に帰れとも言えず、まぁ仕方ないかなと思ってました

そうして酒が入りだんだん酔ってきた友達は置いてあった爪切りの入った箱に手を出しました

「ちょうど爪が伸び取ったで借りるわ」

と友達は手の爪を切り始めました

カチッ、カチッ、爪を切る音が部屋に響きました

すると友達がいきなり

「ヒッ」

と声を上げました

フカヅメでもしたんだろうと思い聞いてみると

なんと、両手の爪を切り終わったとき、小指の隣に指があったと言い始めました

酔ってるんだと私が言うと彼は、自分の切った爪の塊を数え始めました

そこにあった爪は…11個

さすがに私も気味が悪くなり

急いで近くの公園のごみ箱に爪と爪切りを捨てにいきました

怖い夜でした

−終わり−

夜に爪を切ると“親の死に目に会えなくなる”と言います あれは後ろから鎌鼬の様なのが来て首を刎ねていくからと言います
迷信ですが
実際のところはねぇ…

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