●怖い噺 七
□小腸に…
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あれは一年ぐらい前の事だと思う
俺が青梅にある有名な心霊スポットに友達何人かといったんだ
そのときもカメラのシャッターがおりなかったり、音声認識のカーナビが無音状態の車内で突然起動したり、変な事は色々あった
でもほんとうにおかしかったのはそれからだった
その三日後ぐらいだったと思う
その夜、寝ていた時に突然内臓のどこか…というか下腹部が猛烈に痛み出した
本当に痛くて血を吐いたり、痛みでベッドの上をのた打ち回った
救急車を呼んで病院でレントゲンやら色々検査したら、小腸に10センチくらいの錆びた釘が入ってるって言われたんだ
手術で取り除いたが医者に「なんでこんな物が入ってるの?」って聞かれたが答えられるわけも無い
飯に紛れ込んだとしたって明らかに気づくし飲み込めるはずない
突然夜痛み出したのもおかしいし、おれにはあの夜にいきなり釘を腸にぶち込まれた気がしてならない
なんだか得体の知れない恐怖に襲われた
釘が俺の腸から出てきて、何日かたった後、俺は一緒にトンネルにいった友達に連絡を取ろうと思い携帯やら自宅やらにかけたのだがなぜかいつもタイミング悪く繋がらない
電源が切れていたり自宅にかけても家族が
「ごめん、今外に出てて…さっきまでいたんだけど」とか…
そんな状態がしばらく続き、俺はなんとか退院する事ができた
それから友達とも連絡がつき、一緒に行った友達が家にお見舞いに来る事になった
この時、俺はまだ「入院したが、退院する事ができた」とだけ言って詳しい事はまだ言ってなかった
その友達と、ある程度世間話を交わしたあと
「そういえば、なんで入院したの?」と聞かれ
腸から錆びた釘が出てきた事を伝えると見る見るうちに顔が青ざめていった
そして「そうか…あれは釘だったのか」ってつぶやいた
どういうことかと思い気になって聞き返すとどうやらその友人はトンネルに行って以来ずっと同じ夢を見続けていたらしい
それは自分の腸から細長く真っ黒なエノキ茸のようなものが一本だけするすると生えてきて腸の中をもぞもぞと蠢き回る…というものだったそうだ
俺の話を聞いて、友人はやっとそれがキノコではなく釘だったことが分かって恐怖に震えたのだという
結局、なぜそんな夢を見続けたのか
釘を入れたものはなんだったのか
そんなのはやっぱりひとつもわからなかった
ただ、キノコの夢にしろ釘にしろなんとも得体の知れない恐怖を味わった事は確かだった
−終わり−
呪いに使う釘は五寸釘♪
変に肝試しとかで眠っているモノを起さないほうが…
触らぬ神に祟りなしってね