●怖い噺 七
□捜し物
1ページ/1ページ
俺はアパートの2階に住んでるんだけど
一ヶ月くらい前から隣の部屋に女が来てるんだ夜中に
しかも俺がちょうど眠りに落ちそうになった時にカンカンカンってヒールのような靴で音を鳴らしながら毎日のように階段を登ってくるんだ
2週間くらいそれが続いて隣のヤツが羨ましいの半分、眠たいのを邪魔されるのにムカつくの半分って感じだったんだけど
ちょっと変なことに気づいた
寝ぼけてるのもあるだろうけど、隣から会話が聞こえてきた事が無い
それも変だけどもっと変なのは俺の部屋を通りすぎていくんだよ
一番奥の角部屋の俺の部屋を…そこには部屋がないはずなんだ…
その異常に気づいてからも1週間くらいはあるはずのない隣の部屋に足音は来ていた
だけど数日後から俺の部屋の前で止まるようになった足音が
ドアの前をウロウロしてる
足音だけが俺の部屋の前を行ったり来たりしてる。そんなことが1週間くらい続いた
毎晩怖かった、でも毎日疲れて帰ってたからいつのまにか寝てて何事も無く朝が来る。直接害がないから我慢できたと思う
でもこの間その足音が俺の部屋に入って来たんだ!いつもの様に部屋の前をウロウロしてたんだけど急にドアの前で足音が止まった
正直ビビッタ
今まで立ち止まるなんて無かったから。どうなるんだって思ってたんだけどしばらくそのまま動かないんだ
うわっ、なんかヤバイって思ったとき体が動かなくなった!なんだこれっ!?て思ってるとその足音が入って来た!でもドアを開けてない!鍵かけてるから入れるはずが無い!だけど人の気配が隣の部屋にするんだよ!!
扉一枚向こうで足音がするんだよ!!コツ…コツ…コツ…ってゆっくりと何かを探すようにウロウロしてる
で、ずっとヤバイって思ってたらやっぱり扉の前で足音が止まった!もうダメだと思って目をつむった瞬間に声が聞こえた
「ここにもない…」
って。その後俺は意識を失った
翌朝起きてマジでヤバかったな…と思いながらも夢かもしれないきっと疲れてたからおかしな夢でも見たんだろうって思った
だけど水を飲みに行こうと扉を開けたとき現実だったんだって解った…
床には足跡が残ってたよ
無数の片足だけの足跡が
−終わり−
その人は自分の片足を捜していたんですね…