●怖い噺 七


□聞かない方が
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知り合いが救急隊員やってるけど

ずーと昔に某駅で飛び込みがあって

『被害者はまだ生きています』

と要請があったから急行したが到着前にもう当事者は絶命していた

それがまだ高校生の女の子で
覚悟の上でホームから飛び降りたものの
まだ躊躇ったのだろうね

咄嗟にもう一度ホームに戻ろうとして上半身を乗り上げたところに列車が…

上半身だけゴロンとホームに転がって両足は引きちぎられて無くなり内臓も一部飛び出した状態で

『立てない…立てないよう〜!』

と泣き叫びながら暫くホームの上を血まみれになりながら両手で立とうともがいていたそうだけど周りの人がどうする事も出来ないまま救急車の到着前に息絶えたとか

その時、まだ新人だった友人がかなりやり切れない思いをするような無残な状況の遺体でだったそうだ

その後、諸々の手続きをしている時、妙に身体が重いというのか気持ち悪くて身体の芯から冷えるような寒気も感じたけど気分が落ち込んでいるせいかな?

と、思いながら詰め所に帰ったら部屋に待機していた一人の隊員がギョ!!としたふうに友人を見て

いきなりその友人の服を引っ張って部屋の外に引っ張っていき他の隊員に

『水!塩!!』

と怒鳴った

そうして呆然としているその友人の足元にコップに入れた水を置くと、塩を振りながら両手でパタパタと友人の全身を叩きだした

暫くそうしてから

『もういいか』

と止めると、さっきからの悪寒が嘘のように消えていて何となく判って聞きたくないけど聞かずにいられず

『何だったのですか?』

と質問したら、その隊員が一言

『聞かない方がいい…こんな事はまず無いから』

と、ぼそり…友人はその時本気で職業を変えようかと思ったらしい

−終わり−

世の中知らない方が良い事もあるよね
例えばお菓子とかジュースとかの原材料名とか アレ知らない方が美味しく食べられない?

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