●怖い噺 八


□赤いクレヨン
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友人から聞いた話です

埼玉県の春日部市のどこかに鍵の掛かってない空家があったそうです

空家はそんなに古いとかボロボロだったとかではないそうですが不気味で凄く怖くて、友達は入ろうとしてもドアをちょっと開けただけで泣いてしまったそうです

ある日、その子の友達(男の子)が二人で家の中に入ることになりました。罰ゲームで幽霊屋敷から宝物を取って来いという内容だったそうです

昼間だったし凄く怖かったけど懐中電灯を持って入りました

普通、浮浪者とか住んでそうですけど中はキレイで荒らされた様子もなかったそうです

ですが納戸のような部屋に入ったらいきなり小さい赤ちゃん用の箪笥が倒れてきたそうです

そして箪笥があった壁に小さな扉があったそうです。扉を開けて向う側を覗いた瞬間、悲鳴をあげて泣きながら家を飛び出してしまったそうです

私の友人はその子にその時見たことを教えてもらいました

その子は子供の時に見たことですが今でも忘れられないと話しました

箪笥の向うは3畳くらいの窓のない小さな部屋だったそうです

一瞬しか見てないので家具はもっとあったかもしれませんが、小さなプラスチックのちゃぶ台、キティちゃんのような模様のついた茶碗と箸が乗ってたそうです

部屋に入ってまず目に入ったのはそれでした

そして次に目に入ったのは白い壁一面に赤いクレヨンみたいなので小さい子の字で

「たすけて」

と書いてあったそうです

あの部屋には小さい女の子が住んでいた…閉じ込められていた

寂しくてツラくて声を出しても聞いてくれなくて親に手紙を書いたんだねというのがその子の意見でした

でも小さい子が天井近くにも書くのだろうか家具を使って高い位置に登ったと考えられるけれどもそんなにせっぱつまった子がそこまでするだろうか

普通…いえ…普通という言葉は相応しくないけれども、自分の手の届く位置でぐちゃぐちゃに重ねて書くのではないかと私は思いました

あの字は誰がどんな思いを込めて書いたのだろう、他人の話なので私は冷静に考えられますが見てしまった子は…

悲しいお話の悲しい産物として、そう解釈するしかやりきれない恐怖なのだと思います

−終わり−

閉じ込められるネタ多いですね…今読んでるアナタは…閉じ込めてなんていませんよね?

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