●怖い噺 八
□一体の人形
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人形好きなおばあさんがいた
おばあさんには身寄りも無く一体の人形だけが友達であり、家族であった
いつもの用に家事をしながら、おばあさんは一点を見つめて座り続ける人形に言った
「毎日座ってたらつまらんだろう。あんたも歩ければ良いのにねぇ!」
翌日から人形は歩き始めた
その代わりおばあさんは歩けなくなった
それでもおばあさんは人形を可愛がった
無言で歩き続ける人形にむかっておばあさんは言った
「どこに行くの?答えられないか。あんたもしゃべれたらいいのにねぇ」
翌日から人形はしゃべり始めた
その代わりおばあさんはしゃべれなくなった
さすがに歩けず、しゃべれない状態でおばあさんは苦しかった
誰かに助けて欲しかった
目の前でケタケタ笑いながら歩いている人形を見ながら
心の中で思った
「この子が人間だったら、世話をしてもらえるのにねぇ」
「ならば…死ね」
人形はケタケタと笑って言った
−終わり−
酷い…おばあさんが可哀想でしょう…