●怖い噺 九


□手紙
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昨年の5月頃、会社の先輩が実際に体験した話

先輩は当時、アパートの一階に住んでいた
その日も仕事を終え、疲れながら夜9時頃に就寝した

すると午前0時くらいに『ピンポーーン』と部屋のチャイムが鳴った
「うるせーなこんな時間に…無視無視」と寝ぼけながらに無視する事に決めたらしい

その後間もなく『タッタッタッタ…』と廊下を走るような音が聞こえた
玄関の鍵は閉めているはず「これはまずい!」と思いガバッと意識を覚醒させた

ベッドから数メートル横にソファーがあるのだが気配を感じた先輩が薄く目を開け横目で見るとソファーの上に小さな女の子が立っていた

関わってはまずいと感じた先輩は目を閉じ気が付かないフリをした

すると

「わたしの手紙、読んでくれた?」

と声が聞こえた

何を言っているんだこいつは…!そんなもん知らねーよ!と
先輩はもちろん手紙など知るはずもなく恐怖に震え目を固くつむる

「手紙読んでくれた?」

声が徐々に近づいてくる
それでも先輩は頑なに無視を続けた

「ねえ手紙読んでくれた?」

「ねえええ私の手紙読んでくれたあ!?」

全く反応を示さない先輩に憤慨したのか、女の子は叫びながら近づいてくる

胸の辺りに嫌な重みを感じた先輩が薄めを開けると、黒い煙のようなモヤがあり少しずつ大きくなっていく

すると突然「ガッ!」と自分の両手がクロスする形で自分の肩をつかみ金縛りになり動けなくなった

「私の手紙読んでくれたああああああ!?」という声が鳴り響き金縛りで動けない中先輩は耐え続けた

どれくらい時間が経ったのか、いつの間にか金縛りはとけ女の子はいなくなっていた

時計を見ると午前4時
どうやら4時間も格闘していたらしい

この話にオチはないのだが、どうやら先輩のアパートのすく隣が墓だったらしい

今現在先輩は転職しこのアパートから離れて住んでいる

−終わり−

手紙…

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