●怖い噺 九
□血の跡
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ある夜、宿直で校内の見回りをしている先生がいました
その学校は校舎が二つに分かれているのですが
見回りの途中、向かいの第二校舎の屋上に女生徒がいるのを目撃しました
その生徒はフェンスを乗り越えていて、今にも飛び降りそうな感じでした
しかし、その女生徒は一瞬のうちにに消えてしまったのです
気のせいか?
先生は念のため校内を隅から隅まで見回りましたが、特に異常はありませんでした
校内は先生一人のはずです
先生は一旦宿直室へ戻りました
そして、最後の見回りの時間になりました
先生は第一校舎を見回ると、一階の渡り廊下渡って第二校舎へ行きました
さっきの女生徒は本当に気のせいだったのだろうか?
不安は拭えません
一階を見回っていると、先生は違和感を感じました
誰かが後ろから付いて来るような気がするのです
しかし、階段を上がり、二階に行くと気配は消えました
三階に行くと今度は廊下の向こう側からカツーンという音が聞こえました
明らかに誰かいる
先生は急いで駆けつけました
すると、そこには血の跡がありました
血の跡は点々と四階の方へ続いています
先生は青ざめました
もしさっきの女生徒が気のせいではなく、飛び降りて怪我をしていて、助けを求めて校舎に入ってきたのなら自分は責任を問われる
「おーい!!誰かいるのか!!?」
返事はありません
血の跡を辿って先生は階段を登りました
血の跡は屋上のへ向かう階段の前で途切れていました
ふと、先生は疑問を抱きました
屋上へ行く鍵は自分しか持っていない
なのに何であの女生徒は屋上へ行けたんだ?
先生は急に恐ろしくなりました
得体の知れない何かがこの校舎にいる…
先生は逃げ出したい気持ちを抑え、屋上へ向かいました
しかし、そこには誰もいません
ノブに手をかけると鍵はかかってました
と、その時です
先生の手にあるハンドライトの明かりがフッと消えました
辺りは闇に包まれました。そして暗闇の中でズルズル、ズルズルと何かが階段を這って近づいてくる音が聞こえてきます
先生はもう恐怖で動くことができませんでした
仮に逃げようとしてもここは屋上の踊り場
逃げ道はありません
次の瞬間冷たい手が先生の足首を掴みました
そいつはなおも先生に近づき圧し掛かってきます
さらっとした長い髪が頬に触れました
もう先生は完全にパニック状態です
そして、ハンドライトの明かりが再び点きました
目の前には頭が半分割れていて、見るも無残な女生徒の顔があったそうです
先生はその場で気絶しました
その後先生はその学校には昔飛び降り自殺で亡くなった生徒がいることを知りました
先生は赴任したばかりで、そのことを知らなかったのです
そしてそのことを知っていた校長は、ちょうどその命日の日に宿直を担当させたのです
先生は一年で学校を去りました
余談ですが、足首についた掴まれた跡は一週間消えなかったそうです
−終わり−
知っている人は見回り 断りますものね…