●怖い噺 拾


□髪で巻かれていた木箱
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そして院長室のドアを開けようとしたら
さきほどの変な液体がついた
もう無視してドア開けた
そうしたら大量のゴキブリが正面から飛んできた
まじでやばいほどの量
俺は発狂して回った
兄貴はエアガン撃ちまくってた
んでゴキブリがいなくなった
俺はもう何がなんだかわかんないで兄貴の服掴んでた覚えがある

中に入ったら床に白衣らしきものが落ちてた
その白衣が思いのほか綺麗だったんで戦利品だと思い、白衣を取った

そうしたら白衣の下にさっきの包丁と同じ白い粉があった
今回のは粉というより塊に近い
俺は瞬時に理解した
これは骨だ
間違いないと思った
俺はその場で泣き崩れてしまった
兄貴たちは俺を置いて奥へ入っていった

奥へ進んでいった兄貴たち

〜兄貴から聞いたそのときの様子〜

まず同じように白衣が大量に落ちていた
そして尋常じゃない虫の数
歩くごとにブチブチ音がしたらしい

そして院長の机があるところについた。院長の白衣だけはなぜかなかったらしい
その代わり割れた眼鏡が椅子にあったそうな

机の上には白い粉

兄貴はこの時点じゃあ骨のことは知らなかったからどうにも思わなかった

その机にも引き出しがついていた
また、これも開かない
兄貴たちは机を蹴り飛ばした
開いた

そんなかにあったのはまたもや大量の髪と歯
髪の量が半端なかったらしい
今度もメモじゃないけど紙があったんだって

そこには

「俺たちの怒りは収まらない。俺たちはもう死ぬがここに俺たちを入れた奴らを殺すため。俺の証をここにも残す」

兄貴はダメだと思ったらしいが最後にもうひとつの引き出しを開けることにしたそうだ

最後の引き出し開けると木箱があったそうだ

髪で巻かれていて真っ赤だった

開けようと触った瞬間に兄貴の髪が後ろから誰かに引っ張られたんだって
後ろには誰もいなかった
横の友達も同じふうになったって

兄貴も嫌な予感がしたらしく箱捨てて退散しようと俺のとこまで走ってきた

俺はそれ見てたんだけど兄貴たちの後ろから黒い人みたいなのが口開けながら(アゴなんかないみたいに開いてる)追いかけてきてた

兄貴が俺のとこきて
「やばい。これはやばい。持ってるもの全部捨てて入り口まで走れ。絶対に後ろ向くな」
もうライターも捨てちゃってて真っ暗の中俺たちは一階まで走った

追いかけてきた黒い人の足音が後ろから聞こえる
しかもだんだん多くなっていったのが分かった

なんとか入り口までついて
ドアあけようとしたら、なぜか開かない

兄貴は
「おまえら壊せ。はやくしろ!!」
って叫んだ
俺は近くの椅子で叩きまくり兄貴たちは金属バッドで叩いた
なんとかぶっ壊れたんだけど黒い奴らがすぐ後ろにいた
俺が最後尾だったんだけど髪つかまれた

髪引っ張られても無理やり走ろうとする俺
なんとか振り払えたんだが髪が抜けた
そんなこと気にしてる暇なんてなくて走った

病院から出てたら黒い奴らは消えた

兄貴も泣きそうだったよさすがに
そこで少し現状確認してみた
まずみんなの肩が濡れていた
そしてすげぇ驚いたのが

俺の足の爪がはがれていた
しかも靴の中に爪はない
兄貴も同じふうになってた

友達は気持ち悪くて泣きながらずっと吐いてた
とりあえず帰ろうってことになって各自帰った
本当に恐ろしいのはその後

次の日にみんなで会おうと兄貴に提案した
兄貴は連絡をした
しかし先に帰った友達が昨日から帰っていないという
俺らはたしかに帰るとこを見た
しかし帰っていないという
俺と兄貴と残った友達は探すことにした
もう一度病院への道をたどった
しかし誰もいない
唯一見つけたのがバットが落ちていたぐらいだ
こうして結局見つけられず帰った
ファミレスで話し合うことにした

俺たちは何をしてしまい消えた奴らはどうなったのか
あそこはなんだったのか
これからどうするべきか

俺たちは消えた奴らの家族には病院のことを伝えないことにした
呪いが伝染してしまうかもしれないと恐れたから
そして病院については絶対に誰にも言わないこと、このことはもう忘れることを約束した

また次の日俺と兄貴は近くに神社に御祓いしてもらいにいった

神主に俺たちを見

俺と兄貴には呪いがかかってるらしい

話によると俺は包丁とか持っていたから
兄貴は箱を触ったかららしい
兄貴のほうが強い呪いだってさ

箱の呪いは、昔同じように箱の中に子供のヘソの緒とか色々入れてやる呪いがあって
それを改良したんじゃないかって神主さんは予想してた
いちおう半日かかって呪いは解いてもらったんだけど

ほかの友達にもやったほうがいいって兄貴は言ったらしいんだ
でも連絡つかなくなってたって
家族が言うには昨日から帰っていないとさ

もう兄貴と俺は「おわったな」って思ったよ

んで、図書館で病院のことについて調べた

図書館でわかったこと

病院は何かが原因で閉鎖された
大量の医師と看護婦が行方不明になった
患者は全員死んだ
精神病院とは名だけで本当は軍が捕まえてきた反政府思想の持ち主が収容される場所だった
そして入れられた人は拷問されていたこと
隔離病棟で殺していたこと

こんな感じのことがわかった

俺と兄貴は気になって100歳近い近所のおじいさんにも聞いてみた

おじいさんはこのことについてくわしく知っていた

おじいさんが言うにはあの施設は地獄だったという

おじいさんは元郵便局員で一回だけ配達に行ったことがあるらしい
その時見た光景は今でも鮮明に覚えているそうだ
まさに地獄絵図だったそうだ
わめき声、叫び声が常に響いていて発狂してる人を押さえつけてどこかへ運ぶのを見たそうだ
そこには軍人もいたという
おじいさんはそれっきりそこには行かなかった(というか自分から断ったらしい)

図書館のようなことは当時知られていなかったらしい

表向きにはただの病院だったらしい

これ以上のことは言いたくないと言っていた

俺と兄貴は話を聞いたあとしばらく外出を控えた
かなり痩せた
その間も友達は帰ってこなかった

後日、こういうことがわかった

いなくなった友達は全員地元民だった(俺と兄貴は引っ越してきた)
そしてみな家族のいずれかが軍人だった

生きてる状態で病院の奴らは殺したが、殺し損ねた奴らがいたんだと思う
たぶん奴らは残った軍人や自分たちを殺した医者を殺すために、呪いとしてこの世に箱を残したんだと思う

そしてそのままずっと病院に呪いは残っていた

んで俺らが来た
そして軍人に関係ある奴らが殺された
俺と兄貴は関係なかったためあの程度ですんだ

まだ呪いがあるかはわからない

しかし奴らはまだいるのかもしれない

−終わり−

箱には色々なモノがしまわれますからね…

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