●怖い噺 壱
□バンソウコウ
1ページ/1ページ
うちのダンナは仕事柄かなり朝早くおきて出勤する
だいたい5時には一緒に起きて、私は朝ごはんの、ダンナは出勤の支度をする
眠い目を擦って台所に立ち、ダンナが洗面所で顔を洗っている音が聞こえた
突然インターホンが鳴って覗き窓から見てみると見た事も無い小学生低学年の男の子がランドセルを背負って黄色い学帽かぶって立っていた
「誰?どうしたの?」
って聞くとその男の子
「ママがケガしちゃったからばんそうこう頂戴」
って言ってきた
どこの子だろう?って思いながら、台所に戻り救急箱からばんそうこうの箱を取って玄関に
ドアを開ける前に
「ねぇ、どこの子?」
と聞きながらサンダルをつっかけているとその子
「僕のママ、血がいっぱい出ているの」
と言う
じゃあばんそうこうじゃ間に合わないんじゃない?と思いながら
「どうやってケガしちゃったの?」
と聞くと
「ママ、血がいっぱい出て動かなくなっちゃったの。早く開けてよ」
って
なんか恐くてヤバい!と思って
「うちは駄目!どっか他所に行って!」
と言うとドアを凄い勢いで蹴った音がして静かになった
ドキドキしながら覗き窓を覗くとその男の子が外側の覗き窓の高さまでよじ登って反対にこっちを覗いてニヤニヤしてる
ぞっとして後ろに下がって
とそこで目が覚めた
心臓がまだドキドキしている
ダンナが
「あれ?また寝ていたの?」
と言いながら洗面所から部屋に戻ってきた
ホッとして起きてご飯を作らなくちゃと思って布団を出ようとした時、右手にばんそうこうの箱を持っていた
あれ?と思っていると、ダンナが
「さっきお前玄関にいてなんか騒いでいたから、どうしたのか聞こうと思ってたんだよ。なんかドアとか蹴られてたろ?」
って
−終わり−
早朝にも出るのですね…