●怖い噺 壱


□不法投棄の自転車
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中学生の頃に自転車を盗まれて困っていたら、原っぱの草に埋もれるように横たわっていた不法投棄の錆付いた自転車を拾ったのね

名前も書いてなかったし、その自転車を持ち帰ってパンクを直し油さして乗っていたんだけど…

ある日スポーツショップのショーウインドウの前を自転車で通ったんだ

その時チラッと自分が自転車に乗っている姿がガラスに反射して写ったんだが、後ろの荷台に誰かが乗っているのが一瞬見えてさ

そしたら俺の背中に何かがしがみ付いてきた感覚がしたんだよ

え?って感じで意味わからなくなっていたら、ずるりとペダルを踏み外して何故だか足が車輪に巻き込まれて複雑骨折だった

それから救急車で運ばれて置いて来た自転車は行方不明で、どこ行ったか知らないけど

あるとき自転車を拾った原っぱに行ったら…

あの自転車が同じ場所にまた捨てらているのを見たんだよね

‐終わり‐

次の自転車の持ち主が今この噺を読んでいるあなたではない事を願いますよ…

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