●怖い噺 弐
□ホルマリン
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私の先輩がそのバイトしました
ある病院の地下にホルマリンのプールがあり身元不明の変死体なんかを漬けてました。首にナンバープレート付けてあるそうです
バイトの内容は浮かんで来た死体を竿で突ついて沈めるという単調なものですが、丸一日で当時のサラリーマンの月給分ぐらいの支給があったのですがこれ、人数割りなんです
お金に困っていた先輩はひとりでやると申し出ました。病院側が「それは無茶だ」と難色を示したのですが先輩は強引に押し切りました
後日その先輩に話を聞いたら一日で止めたと言います。臭いが取れないと顔をしかめます
「でもなそれだけじゃねぇんだ。ラジオと本持ち込んだんだけどまずラジオがいかれた。チューニングがおかしくなって雑音に声が混じるんだ」
先輩はラジオを消しうつらうつらしながら定期的に浮いてくる死体を突ついていました。
そのうち先輩は奇妙なことに気付きました
死体が浮かぶ感覚が短くなってます。それに普通は尻か腹から浮かんで来るのに頭から浮いて来るのです
そして浮いてくるのはいつも同じ死体です。中年の小太りで刺青の入った死体だったそうで、そのことに気付いて流石の先輩も慄然としました
そのとき、件の死体が先輩の足元に頭からニョッと浮き上がりました。ガスで膨らんだ青白い顔、白濁した眼球が出目金のようになっています。死体は先輩を見つめたように見えました
「グヘヘ・・・って笑いやがった」
交代が来るまで先輩は笑う死体を突つき続けたそうです
「二度とやんねぇ・・・」そう呟いていました
−終わり−
僕は生きている人間より
死体のが好きなので…あとホルマリンの香りも♪
やりたいですねこの仕事
“死体ラブ”