●怖い噺 弐
□エレベーターの女
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8階に住んでいる
仕事が忙しく帰りはいつも深夜だ、にわか雨が肩を濡らすが気持ちいいくらいに思っていた
ただいつもは明るいはずのエレベーターホールがやけに暗く見えた。暗いのもすぐに理由がわかった。何本かの蛍光灯の1本が切れている
今に始まったことじゃないココの管理人は仕事が遅い
エレベーターが1階に着きドアが開いてギョッとした中に人が居る…ドアに背を向けじっと立っている
赤いリボンと赤のワンピース、女だ、乗り込むのを一瞬躊躇したが乗らないのも変なのでそっと入り込んだ
女に背を向けた状態で8階を押した
ボタンがどれも押してないことに気が尽き失敗したとすぐに思った。自分の住んでる階を押したくなかった
階上ランプを見つめながらエレベーターってこんなに遅かったかって考えていた
女は後ろを向いたままじっとして動かない
8階に着きエレベーターを降りたが女は変わらず後ろを向いている
部屋に着き少し落ち着きシャワーを浴びた、ビールを飲み二缶目を飲もうとして冷蔵庫が空なのに気づいた
近くにコンビニがある。サンダルを引っ掛けエレベーターを呼んだ
ドアが開くと女が乗っていた。さっきと同じ格好で背を向けじっと動かない
今度は乗れなかった
−終わり−
エレベーターの女…エレベーターガールですね…