●怖い噺 参


□泥団子
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5年ぐらい前の話です

私の仲の良かった友達(Aとします)が引っ越をしました。私も引越しの荷物運びを手伝うためAの新居に行ったんです。出発したのがお昼過ぎで荷物が多かったこともあり運び終わった頃はもう午後8時半を過ぎていました。取り合えず近所のコンビニでご飯を買って友達と食べて少しだけ荷物の整理をしてその日は寝ました

翌朝起きたとたん土の匂いがしました。Aを起こすとAの足がなぜか泥だらけなんです。夜はだしで外に出たとしても近所に泥が付くようなところはないし床などは一切汚れていませんでした。Aがシャワーを浴びているあいだに私が朝食を作ろうと思い玄関の横にあるキッチンに行ったときふと玄関に黒い物落ちていることに気づきました

泥団子が3つ…

Aの悪戯かと思った私は泥団子を捨ててAがシャワーを上がるのを待ちました。Aは全く知らないと言うばかりで段々気味が悪くなってきました。帰ろうとも思いましたがAを一人残して帰るのも気が引けたのでもう1日だけ泊まることにしました

目が覚めると昨日と同じ土の匂い。Aを起こすとAの足には大量の泥。床は汚れてない。まさかと思って玄関に行って見ました

泥団子が2つ…

Aも気味悪がって引っ越したばかりで荷物も散らかったまま二人で私の家に行くことにしました。二人とも黙ったまま時間が過ぎて行きそのまま寝てしまいました

次の日も同じでした。土の匂いにAの足は泥だらけ。床は汚れておらず玄関には泥団子

今日は1つです

ふと私は思いました

「明日になったら0…0になったらどうなるの」

Aも同じことを思ってたみたいです。全く想像も付かず(「死ぬ」いうことは除いて…)ただビクビクするだけでした。結局どうすることも出来ずAと私はその日も何もせず寝ました

次の日土の匂いはせずAの足も汚れていません。玄関に泥団子もありませんでした。何も起こらなくて良かったー。と思う反面本当に大丈夫なのかな?とも思っていました

Aはスッカリ安心したようで今日は自分の部屋に戻るといいましたが私が心配だったので今日もAを家に泊めました。その日は楽しく食事もし夜遅くまで話し込んで寝ました

夜中トイレに行きたくなり目が覚めました。トイレから戻ってくると生臭いような匂いがしました。窓を少しだけ開けてベッドに戻ろうとしたとき「メキッ」という音がしてAの方を向きました

そこにはAの足をつかんで引っ張っている小さい男の子の姿。目を見開いてすごい形相でAの足を引っ張っていました。Aは全く起きる気配もなく私は恐くてAの肩を揺らし起こしました。しかしAは起きません。Aは小さな物音にも反応して起きてしまう人だったのにどれだけ肩を揺らしても全くおきないのです。私は横目でAの足元を見ました

「ミチュミチュ」

という音がしてくるぶしの上のところから血が出ていました。肉がはがれていました。骨が見えました。私はそのまま気を失ってしまい次におきたときはAの姿も血のあとも男の子も消えていました。

Aは行方不明になりました

私は2年ほど精神病院に入院していました

あの日のことは毎日夢に見ています…

−終わり−

僕も幼い頃はよく泥団子を作ってました

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