●怖い噺 四


□クラスメイト
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中学二年生の時の真面目に怖い話を1つ

東京からほど近い千葉の国道にあるトンネルへ、クラスメイトと一緒に行ったことがある

そこは地元の暴走族も深夜には絶対に通らないというほど、幽霊が頻繁に目撃されている心霊スポットだった  

中学二年生の時、私は両親の離婚の為に千葉から東京の杉並区へ引っ越した

私の転入した二年三組の教室では「怖い話」をみんなで語り合うことが流行っていて、特に話している本人の体験談は大人気だった

クラスに早く溶け込みたいと思っていた私は、千葉の国道にあるトンネルへ行って、そのことをみんなに話して聞かせようと考えた

日曜日の朝、最寄りの駅で千葉のトンネル近くの駅までいく切符を買っていると男子に声をかけられた
同じクラスのAというらしい

正直、私はそのクラスメイトの顔も名前も覚えていなかった
学校に通いだしてからまだ二週間ほどしか経っていなかったからだ

なんとなくクラスにいた様な気もするので普通に話をした

「どこに行くの?」

そう聞かれて私は、心霊スポットである千葉のトンネルに行くことを説明した

「面白そうだなあ、オレも一緒に行かせてよ」

とAはいった

今回の千葉行きは、自分だけの手柄話にしたかったのだが、話してしまった以上断りづらく
一緒に行くことにした

電車に一時間程乗り、さらに四十分ほど歩いて私たちが噂のトンネルに着いたのは正午をまわった頃だった
トンネルの中は薄暗くひんやりとしていて鍾乳洞みたいだと思った

「なにか感じるか?」

Aが聞いてきた

「わからないけど、薄気味悪いな」

私たちは三十分ほどトンネルの中をうろうろしたり写真を撮ったりしていたが、特に何も起きなず、飽きてきたので帰ることにした

最後に、このトンネルに来た証拠としてお互いの写真を撮りその場を去った

結局幽霊を目撃することはできなかったが、私にとってクラスメイトのAと親しくなれたことが大きな収穫だと感じていた

次の日、学校に行って、千葉のトンネルへ行ってきたことをクラスのみんなに発表した

Aがまだ登校していなかったので、詳しくはあいつと一緒に昼休みでも話すというと、話を聞いていた皆の表情が一変した

「オマエなんでAのこと知ってるんだ?」

そう聞かれたので

「いや、だってクラスメイトだろ?昨日トンネルに行ったのはオレ一人じゃなくて、Aと一緒に行ったんだよ」

と答えた

するとそいつは

「そんなわけないだろ。だって、Aは四月に交通事故で死んでるんだぞ」

と、青ざめた顔でいった

後日、現像から戻ってきたAが写っているはずの写真は
Aの姿だけが丸々消え去り、単なる風景写真となっていた

−終わり−

悪い霊でなくて良かったですね

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