●怖い噺 五


□押入れを開けてみた
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個人的にトラウマな話
家族以外は知らないし、誰にも話したことない

うちは転勤族で、子供の時は2〜3年おきに引っ越ししてた
小3〜4年の時住んでたのは京都のとある市だったんだが、アパートの裏は山になってた

近所の友達とよく裏山を探検してたんだけど、親から言われてたのもあってあまり奥までは入らなかった

ある日、親たちには内緒で友達3人くらいと裏山の奥まで入ったことがあった
多分30分ほど適当に歩いてたら、廃屋があった
別に普通の廃屋だった
俺たちはテンション上がって、廃屋の中に入って探索してた
平屋の3LKくらいの間取りだったと思う

廃屋のリビングと思われる部屋にエロ本が数冊落ちてて、エロガキだった友達たちは歓喜してそれを読んでた
俺はまだそこまで興味なかったから、適当に友達がエロ本読んでるのを後ろから見た後に別の部屋を探索した
隣の部屋に入ったけど、特に家具とかは無かったと思う
押入れがあるだけだった
俺は何となく押入れの襖を開けた

そしたら押入れの上段に、小太りのおばさんが後ろ向きに、正座をちょっと崩した感じで座ってた
あまりにも予想外すぎて、恐怖とか疑問より、その時の俺は怒られる!ってパニクった

でも2〜3秒してもおばさんはこっちに背を向けたままだったので、おばさんは俺にまだ気付いてなくて、このまま静かに襖閉めればバレないんじゃないか、って思った俺は静かに襖を閉めようとした
で、襖に手をかけた瞬間におばさんが突然振り向いた
今でもはっきり覚えてるが、おばさんの顔がヤバかった

眼球が無くて、目の部分がぼっこりと黒い穴が開いてた
口開いてたんだけど、歯もなかった
そして顔のいたる所から血が流れてた

俺は叫んで一目散に家を飛び出た
友達を置いて
帰り道の道中はよく覚えてないけど、何とか家まで帰ってきた
もう走ってる最中ずっと泣きっぱなしだった

家の前まで来ると幾分冷静になったんだけど、親に話そうか迷った
話したら怒られると思ったから
結局黙ってることにした
もう友達のことなんてすっかり忘れてた
で、家帰って怖いの払拭するためにゲームをした

俺の家のゲームのある部屋には襖がある
ゲームしている途中に、襖の方から音が聞こえた気がして振り返ったら
襖が少し開いてて、中からさっきの顔面ぐちゃぐちゃのおばさんが見てた

俺また絶叫して、台所にいる母親に泣きついた
「押入れにおばさんがいる!」って伝えた
母親が俺をなだめた後、部屋の押入れを確認に行った

もう俺はただただ怖くて、台所で固まってた

すぐに母親が「何もいないじゃない」って言ったから恐る恐る確認に行った
母親は襖を開けたまま「どこにおばさんがいるの?」って聞いてきたけど、おばさんはまだ襖にいて、眼球ないのに俺の方を見てた
母親には見えてなかったみたい
俺はそこで気絶した

それ以来押入れのある部屋がダメになった
旅行先の旅館の押入れにもいた時はマジで困った
今も押入れにまだおばさんがいるのかは分かんないけど、怖くて確認できない
今まで3回そのおばさん見たんだけど、見る度に少しずつ押入れから体を出してきてる気がする

−終わり−

押入れは怖いですよね…

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