●怖い噺 六
□その子ちょうだい
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知先日友人の結婚式で札幌に嫁・娘(2歳)といってきました
市内のホテルに宿泊することになり式の前日に市内観光をし夕飯をとってホテルに戻りました
もう遅かったので部屋の風呂に入り布団も敷いてあったので3人で寝る事にしました
娘は初めての遠出だったからかすぐに寝てしまい私と嫁はビールを軽く飲みながらテレビを見ていました。明日早いからねようと12時頃布団に入りうつらうつらとして30分くらいしてやっと睡魔が襲ってきたと思った頃真ん中に寝ていた娘が急に泣き出しました
夜鳴きは時々あったのですが泣き方がいつもと違いほんとに烈火のごとく泣きじゃくっているのです
私と嫁は飛び起き娘を抱きかかえましたどこか痛いところがあるのか?おなかでも痛いのかとおもい必死になってあやしましたが一向に泣き止みません
それどころかますます泣き声が異常なほど恐怖におびえてるような声になってきました
大丈夫?大丈夫?って嫁が娘を抱いていると娘が泣きじゃくりながら床の間を震える指で指差し、そこには女の子の絵がかかれた掛け軸がありました
あれが怖いのか…と思い私は掛け軸を外そうとおもい近づきました
その絵は女の子が綾取りをして遊んでいる絵でした
掛け軸に手をかけようとした時なんか違和感がありました。女の子が左に書かれていて右側が異常に空いているのです
変な構図だなと思った時
“その子ちょうだい…その子ちょうだい…”
という声が聞こえたのです
私はぎゃーっと叫び何事かときょとんとしている嫁と泣きじゃくる娘を浴衣のまま部屋から連れ出しフロントに直行し部屋を換えさせました
−終わり−
旅館の掛け軸って色々な怪談の材料になってますよね