●怖い噺 六


□4階の物音
1ページ/1ページ


俺が小学校高学年ぐらいのときに体験した話

当時俺が通っていた小学校は4階建ての校舎で、校舎の作りは1階〜3階までは教室で4階には教室はなく理科室や音楽室などの授業、クラブ活動以外ではあまり使われない部屋が集まっていた

俺は高学年だったので自分の教室は3階でした。全ての授業が終わりクラスの皆が帰ったあと自分だけは居残りで勉強等をやっていたときの事(当時は俺は成績が悪かった為、よく居残りで勉強等をさせられていた。)

初めは自分がいる教室の上、4階の部屋から
「ガガガガッ」となにか椅子を引きずるような物音が聞こえてきました。そのときは「まだ誰か4階にいるのかな?」程度にしか思ってなく特に気にも留めてなかったがその日以降クラスの皆が帰ったあとになると4階の部屋から「ガガガガッ」となにかを引きずる物音が続き、日が経つにつれて音はどんどん大きくなる

4階の部屋は通常は理科や音楽等の授業以外ではクラブ活動ぐらいにしか使われずそのクラブ活動も週に1回しかやらないのだが物音は毎日続いている

さすがに気味が悪くなり一緒に居残りをしたクラスのA、Bに

俺「今、上の階から変な物音聞こえない?なんか気味悪いね。」

A「?何も聞こえないけど??」

俺「え?今も「ガガガガッ」ってなっているよ?」

A「は?」

B「何も聞こえないよ。からかってんの?」

どうやら他の人には聞こえないらしい

物音は次第に大きくなっていき、騒音と呼べるくらいの物音になっていった

「ガガガガッ」
「ダンダンッ」
「タタタタッ(誰かが走っているような足音)」
「ギーギーギー(机みたいな大きなものを引きずる音)」

あと、これらの物音のほかに混じって小さいが話し声も聞こえてきた(話声と判るがなにを言ってるか聞き取れない)

A、Bに放課後残ってもらっても「何も聞こえない」との反応

ついには放課後だけでなく授業中にも聞こえてくるそして皆には聞こえない。聞こえるのは自分だけ

幻聴?それとも何か変なものにとり憑かれた?

なんで自分だけ…?

毎日聞こえる不可解な物音になぜクラスの皆は誰一人疑問を持たない?

いや…皆には聞こえないんか…

なんで何時も誰もいない4階から物音、話声が聞こえてくるのか?

椅子、机がひとりでに動いているのか…?

そこで俺はなにを血迷ったのか選択してはいけない行動をとってしまった…

放課後、今も聞こえる物音を確認すべく今日4階に行き確認することを決意した

その日は普段より皆帰るのが早かったせいか校舎全体が静まり返っていた、誰もいないような感覚がした。そのときは少し恐怖を感じていたがなぜかこの日でないといけないと思っていた

時刻は15:00ぐらい、日も沈みかけ空はあかね色に染まっていた

俺は何かに引き寄せられるかのように4階へ上がる階段のところへ向かっていた。階段に向かうにつれ物音、話声は少しづつ大きくなっていく

もちろんこの日はクラブ活動とかはなく4階の各部屋には鍵が掛かっており特に用事がない限り中には入れないようになっているというかそもそも4階は幽霊が出ると全生徒で噂になっており普段は誰も近寄らないのだ

たしかに4階の空気は異質で例えていうなら空気が凍っているような寒気がするそんな場所だ

4階へ上がる階段に着いた、この時点で既に周りの空気は凍り付いていた。このときの恐怖感が今でも鮮明に覚えている、恐怖感と緊張で手足が震え冷汗をかき意識は混乱していたが「確認する」という意志だけははっきりしていた

恐る恐る階段を1段づつ上っていく、1段上る度に物音、話声も大きくなる。あまりの恐怖ですぐにこの場を離れたかったが足は勝手に動いていく

階段の中間あたりまで来た、全ての感覚が恐怖感で麻痺したかのように手足が重くなっていた。物音、話声も今までになく大きくそれは直ぐ上の4階から聞こえていた

階段を上りきり4階の廊下に着いた直後だった、あれだけうるさかった物音、話声が突然やんで辺りは完全な無音に包まれた

それと同時に辺りの空気がなにか別のものに変わっていた。極度に冷たい空気、重圧感、極限の恐怖感、四方からくる無数の視線。そのとき非常に後悔したなぜ自分はこんな時間にこんな場所に来てしまったのかを。足はまったく動かない自分の足がその空間に植えつけられたかのようだ

俺「…………」

声も出ない、いや例え出せたとしても出す勇気なんてない。後ろから特に強い視線を感じる(3階の方から)絶対に振り向いてはいけない振り向いたら最後

しかし体は後ろを振り向こうとする、自分の意識に反して。目もつぶれない後ろには見てはいけないものがある意識は極限状態この状態を上手く言葉に出来ない

出来るとしたら「ここにいてはいけない」「後ろのものは見てはいけない」「逃げろ」

遂に後ろを振り返ってしまった

俺(何も無い…、誰もいない…)

このとき少し安心したのか恐怖心が少し和らいで足も動くようになっていた。和らいだとはいえあまりこの場所にいたくなかったので4階のほうを振り返らずにその場を離れた

離れようとした

右腕が後ろに引っ張られる反射的に後ろを振り向いた

自分と同い年くらいの子が自分の右腕を掴んでいたその子の周りには無数の子供がいた。さっきまでは誰もいなかったのに。なぜか顔が黒くなっていて顔が見えない

俺「ッ!!!!!!!!」

俺は声にならない絶叫を上げ階段を駆け下り全速力で校庭まで逃げていった

腕を掴まれた感触がまだ残っているこの世のものとは思えないもので掴まれた感覚が残っていた

それ以降、なぜか4階からの物音、話し声が聞こえなくなっていた。聞こえなくなったせいか以前より4階に対する恐怖心というのがなぜか少し薄れたような気がした

うちの校舎の4階は幽霊が出ると学校内で噂されていたがただの噂で実際にあったという話も花子さん程度のもので、誰かが面白半分に噂していただけの有名な話に毛をつけたようなものばかりだ

ちなみに後で調べたのだがこの小学校では特に生徒が自殺したとか、校舎を建てる前は墓地だったとかそうゆう話は無いそうだ

しかし自分が体験したあれはいったいなんだったのだろうか

4階への恐怖心は薄れ、音も聞こえなくなったが4階の空気の冷たさは変わらなかった

−終わり−

4階…四階…し階…死界ってことですね
4は死を意味するらしいですしね

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ