●怖い噺 八


□ケータイ電話の拾い物
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デパートで買い物をし終え、駐車場へ向かう途中
自分のバイクの横に携帯電話が落ちているのに気がつきました

丁度すぐ近くに警察署があるので届けてあげようと思い拾い上げたとたん
ピピ…と着信音が鳴りました

人の電話だし、でてもよいものか迷ったのですが本人からの電話かもしれないしでてみる事にしました

僕「もしもし?」
「…」
僕「あ、あの…」
「…あ。すいません。俺、この電話をどこかで落としたみたいなんで…」

どうやら電話の持ち主のようでした

僕「あ、良かった。○○の駐車場でこの電話を見つけたところなんですよ」
「…そうですか。じゃあ、5分以内に取りに行きます。どうも、すいません…」
僕「解りました。待ってますよ」

やけにそっけない男性の声でした
まぁ、5分くらいならと思い煙草を吸いながら待っていました

するとまた電話が鳴りました
また本人からだと思い、すぐにでたのですが…

僕「あ、もしもし」
「もしもし」

電話の声は先程の本人のものではありませんでした

「こちらは○○警察署の、○○と申します」
僕「はぁ…」

警察?何故警察から電話が

しかしでてしまった以上事情を説明するしかありません

「この電話はあなたのものではないですね?」
僕「え、そ、そうです。実はたった今○○の駐車場で拾ったばかりで…」

何故か警察の人は事情を知っているようでした
これなら話ははやいなと思い説明を続けることにしました

僕「あ、でももうすぐ本人が取りにきてくれる事になってるんで」
「は?」

警察の人はすっとんきょうな声をあげました
少し間があき、続きます

「…実はね、今あなたが持ってる電話の持ち主の人、そこのデパートの前の交差点で交通事故にあって昨晩亡くなってるんですよ」
僕「えっ??あ…でも…」

僕は耳を疑いました
持ち主は死んでる?
しかしたった今持ち主と電話で話をしたばかりなのに…

「まぁ丁度良かった。○○のすぐ近くの警察署なのでもし宜しければ持って来てもらえますか?」
僕「…あ、はい…」

電話は切れ、仕方がないので僕は警察署へ届けることにしました

先程の電話は多分誰かの悪戯なんだろうと自分に言い聞かせながら

少しバイクを走らせると、すぐに警察署につきました
受付に行き事情を説明すると担当者を呼んでくれる事になりソファーに座って待つ事にしました

と、またピピ…と電話が鳴りました

僕はさっき電話をくれた警察の人が確認の連絡をしてきたのかなと思い電話をとったのですが…

「…もしもし」
電話の声は持ち主の声でした
「…ひどいじゃないですか、駐車場で待っててくれるって言ったのに」
僕「あ、あ、あなた…。本当に本人なんですか!?持ち主の人は死んでるって…」

僕はあまりの恐怖に声にならない声を出しました

「…。やっぱり…そうか」

そう言うと電話は切れました

その後やってきた警察の人にこの話をしても信じてはもらえませんでした

そこでこの電話の着信履歴を確認してもらうことにしました

しかし着信履歴の画面には警察署からの履歴しかありませんでした

−終わり−

亡くなっているのに気が付かない…

自分の事って中々気付かないものなんですよね

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