●怖い噺 九
□2本の角
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今はもう廃村になってしまった小さな集落の話
当時はまだ、火葬は山で野火送りで行われていました
村で強欲、残虐、非常識で有名だった独り者のばあさんが亡くなった時に
祖父や村の人らが火葬場でそのばあさんの死体を燃やしていたそうです
薪を積み上げ、その上に死体を乗せ、上にムシロをかけて死体を燃やしていると
ばあさんの頭の部分のムシロがゆっくりと持ち上がっていく
気味悪く思いながら見ていると、ムシロが崩れて、黒くこげたばあさんの頭があらわに
そこには二本のツノが生えていたそうです
爺さんたちは坊さんを呼んできて、燃やしている間はずっと念仏を唱えてもらって
朝までかかって、骨も原型をろくに残さないくらいまでに燃やし尽くしたとのこと
「あのばあさんは○○の家のもんやったが、
あんまし酷いことばっかしとったから、ほんまもんの鬼になってまったんやろな。わしらみんな、あの婆さんは鬼じゃと言うとったが、まさかほんまもんの鬼やとは思いもよらなんださ」
年に1、2回、離村した集落のみんなが集まって飲んだりするたびに
そんな話を爺さんやばあさん達から聞きました
−終わり−
性格は顔に出るらしいですからね