●怖い噺 拾


□百物語の後…
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小学生中学年くらいだったの話だったと想います

よくある100物語をやろうと誰かが言ったのがきっかけでした

とはいっても1人で何十個も怖い話を知ってるわけもなく10名が1人10個ずつ話す事になった訳です

私も必死で怖い話を覚えて参加したんです

まあ100個と言っても似たような(ほぼ同じ)話もちらほら

ローソクも2,30本ずつ立てて残り少なくなったら又火をつける

体育倉庫に忍び込んでやってたんですごく狭かったんですよね

俺も話終わり70話、80話とどんどん進んでいったんです

放課後から始めたからすでに日はおちかけてます

そして最後の人が100話目を話し終えローソクを消す…

数秒沈黙が恐怖を掻き立てたのだけど何も起きずに誰かが「なんだよ、やっぱなんにもおきねーじゃん」と

俺もちょっとだけ期待してたんですが、まあこんなもんかとね

大体、同じ話とかローソクいっぺんに立てないとかダメな要素満点だったし

でもそれまでのなんともいえない緊張感ってのが楽しかったのでそれなりに満足してみんなして体育倉庫を後にしていく

最後に俺が体育倉庫のドアを閉めて振り向きなんとなく人数を数えたんですよ

これがいけなかったのか…

1.2.3…7.8…9…?9人?

みんな歩きながらだし、最初は数え間違えだと想ったんですが、みんなを呼び止めました

「ちょっと!!」

あまりにでかい声だったのでしょう。みんな俺のほうを振り向いて歩みを止めました。俺は無言のまま、もう一度人数を数えました

はやり9名しかいない

おかしい

「なあ、誰か先に帰った?」

先頭のほうを歩いてた奴が答えた「いや、誰も帰ってないと想うぞ、どしたん?」

俺は正直意味が分かりませんでした。それは1人足りなかったと言う事ではないんです…問題は1人足りないと想われる人が誰かわからないんです

俺は答えました「え?だって10人でやってたでしょ?いま…9人だよ…?」

みんな人数を数え始めました

そして、みんなの顔色が目に見えて代わって行ったのが分かりました

そして俺と同じ疑問を口にしていました

「なあ…誰がいなくなった?」

そうです。たしかに1人居なくなったのにそれが誰だか思い出すことが分からなかったのです。その場の全員が

誰かが言いました「…今日は、遅いから、帰ろう…」

みんな無言で帰っていきました

次の日からクラスには誰も居ない席が一つ出来ました

先生も含め誰かいたような気がするが誰も思い出せません

名簿にも載っていませんでした

1人という人間が消えたという事実があったかどうかすらあやふやになってしまいました

それから10年以上たちます

今ではその事すら記憶から消えようとしてました

でもたしかに最初は居たのです

誰も覚えてません。これからも思い出すことはないでしょう…

永遠に消えたクラスメートの存在を…

−終わり−

百物語は作法があってそれを知らないと…せめて略式くらいはしないと…まだ1人ですんで良かったですね
…これで次の百物語で語る噺が1つ増えましたね

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