●怖い噺 拾
□開けられません
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姉ちゃんの体験した話
真冬の物凄い寒かったある夜、姉ちゃんがベッドに寝てると自分の頭の横で何かバタバタ音がするから
「うるさいなー」
と思いつつ何かを確認しようとして目を開けようとしたが目が開かない
それと同時にバタバタという音がだんだん大きくなる
「うわー何?何?」
って姉ちゃんが焦っていると、いきなりその何かが胸に乗ってきた
ピョンピョン跳ねてキャッキャッ笑ってるらしい
明らかに小さい女の子の声だ
もの凄い汗をかきながら姉ちゃんはわけわかんない念仏を唱えてると
「目を開けて見て」
って声がした
姉ちゃんは
「あけれません…」
と呟いてみるとその何かが
「目を開けて寝ると、まーるいお菓子が貰えてね。大丈夫なのだからまーるいお菓子が貰えてね大丈夫なの」
と繰り返す
姉ちゃんは無理だと思いつつ目を開けてみるとそこにはどこにでもいそうな女の子が馬乗りになって姉ちゃんの上に乗ってる
姉ちゃんは気が遠くなりそのまま意識がなくなった
次の日姉ちゃんにその話を朝から聞いた
「ねーよ」
って俺は笑いながら茶化した
「そうだよね?サーセン」
って姉ちゃんも笑ってた
それが姉ちゃんと喋った最後の会話だった
姉ちゃんは…その日の通学中に車にひかれて死んだ
…目を見開いて
葬式の時にお供え物の準備をしてると親戚の女の子が俺のとこに走ってきた
「これね、みっちゃんがね、お兄ちゃんに渡してって」
って言うから
俺はテッキリその見知らぬ親戚のみっちゃんて子が俺にお菓子をくれたんだなって思って
ありがとうって受け取った
「みっちゃんって誰?」
って女の子に聞いてみると
「みっちゃんはね、押し入れの中に住んでるから外に出れないんだって…でももうすぐ出れるって」
俺はそれ以上何も聞けなかった…
女の子のくれたお菓子は丸い旨そうな、まんじゅうだった
−終わり−
よく押入れには何かが住んでいるよね
お化けとか、不審者とか…ネコ型ロボットとか…