●怖い噺 拾
□毛糸の塊
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私の実家は東北地方の小さい村にあります
家は田舎ならではというかんじで結構大きく
敷地内には倉まであって今思えばかなり裕福な家庭だったのかもしれません
その倉なんですが、小学生の頃よく親に隠れて中で友達と遊んでたりしました
ある日、友達2人で中の骨董品をいじっていた時に変な物を見つけてしまったのです
大きさは大人のコブシぐらいで黒い毛糸が絡まったボールのような物で何であるかはよく分かりませんでした
汚らしく興味も無い私はソレを元の場所に戻そうとした時に友達が何故か興味示したみたいでソレを私から取り上げ投げて遊びだしたのです
その瞬間世界が暗転しました
気がつけば私は病院のベッドで寝ていました
後日、親に状況を聞くとどうやら友達2人と川遊びをしていて流されて溺れたみたいで一緒に居た友達の一人は亡くなっていたみたいです
その時はさっき見ていたのは夢だと思っていました
退院し親に付き添われて亡くなった友達の家に行った時仏壇を見て驚きました
お供え物の横に一つだけ明らかに異様な物があったのです
それは夢で見たあの黒い毛糸の塊で、友達の両親いわく亡くなった時にポケットに大事そうにしまっていたそうです
私は急に怖くなって親の顔を見ると何故か親のかも険しくなっていました
帰路につく途中親が突然私に問いただして来ます
倉を中の物に触ってないかとか色々と聞いてきました
私は正直に夢で倉で遊んでいた事話しました
親は険しそうな顔をしていましたが、その場はそれ以上何も聞いてきませんでした
それから20年近くたった最近になってあれは何だったのかを聞いてみた所
昔、この地方は水害が酷くそれを治める為に人柱を使って増水を治めるという事していたみたいで
その時犠牲になった人の毛髪を使ってお守りを作っていたらしいです
それがあの毛糸塊だったそうです
−終わり−
品物に魅入られた人はソレに惹かれ 何も感じない人にとってはソレはただのモノにすぎない…アナタも何か良からぬモノに魅入られない様にお気をつけて…