●怖い噺 壱
□壁の落書き
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町に廃墟があった
2階建てのアパートみたいな建物で、壁がコンクリートでできていた
ガラスがほとんど割れていて、壁も汚れてボロボロだったから、
地元の人間でも、あまりこの場所に近づくことはなかったらしい
ある日友人と肝試しをすることになって、この廃墟に行くことにした
まだ昼ぐらいだったから、建物の2階まで上がって建物を探索した
そしたら並んでいる扉のひとつに、文字が書いてあるものがあった
近づいて確認してみると、扉の前に
「わたしは このさきの へやに いるよ」
と書いてあった
自分と友人は扉を開けて中に入り、先に進むことにした
歩いて行くと分かれ道に突き当たって 、壁に
「わたしは ひだり に いるよ」
と書いてあった
少し怖くなったけれど、自分と友人はそのまま左に進むことにした
すると両側に部屋があるところに突き当たって、壁に
「あたまは ひだり からだは みぎ」
と書いてあった
友人はこれを見た瞬間に、半狂乱になって逃げだした
でも自分はその場所にとどまって、勇気を出して右の部屋に行くことにした
部屋に入り進んでいくと、突き当たりの壁に
「わたしの からだは このしたにいるよ」
と書いてあった
下を見ると
「ひだりの へやから わたしの あたまが きてるよ うしろ みないでね」
自分は急いで、その部屋の窓から飛び降りて逃げた
それからはもう、その場所には近づいていない
−終わり−
後ろを見ないでねとは
ずいぶん親切に警告してくださる幽霊ですね
まぁこの人たちのお陰で頭と身体は出会えてハッピーエンドですね♪