●怖い噺 壱
□過保護
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ある女がAという男の自宅前で自殺した
二人に接点は何もなかったので事情聴取もすぐに終わった
女の両親は本当に何もしてないのかと最初はAを疑ったが、男を信じ、お詫びにと自宅に誘った
誘いがしつこいのでAは行くことにした
両親は娘のアルバムを何冊も見せ、思い出話を語った。過保護というやつである
ふと、ある写真が目に入った
男の子が骨折している写真である
これは?と聞いたら「娘にぶつかってきたので私が階段から突き落としました」と、父親は穏やかな顔で言った
こいつ、何か変だ…Aは帰ろうとしたが、なかなか帰らせてくれない
アルバムがめくられる
全身火傷をした子ども…「娘に花火を向けたので灯油をかけて火をつけました」
頭皮がはがれている子ども…「娘の髪をひっぱっていじめていたので、柱に縛りつけて髪を全部抜いてやりました」
「あ、死体は全て庭に埋めてるんですよ」
穏やかな顔でAを見る。Aは怖くてたまらなくなった
こいつらやばい、やばい…逃げなくては…逃げなきゃ俺は…
「Aさん最後にもう一度聞きますよ。あなたは本当に娘に何もしてないんですね?」
−終わり−
過保護…僕とは関係の無い話だ