●怖い噺 壱


□布団から足を出して
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これは母の友人に起こった本当の話です

「今日で最後か。それにしてもなんでこんな暑いのに、布団に包まって寝なきゃいけないんだ」

こんなことを言いながら寝ているこの人物をAとしておきましょう。なぜ彼がこんなことをしなければいけないのか。それにはこんな理由があったからなのです

1週間前のことです。Bと、Cという2人の友達が彼のマンションに遊びにやって来た。学校の話しなどでもりあがった頃、Bが「怖い話しを教えてやるよ」と言ったのでした

ちょうど夏の盛りだったので「涼しくなるしいいね」などと言いながらBの話しが始まったのでした

「あるところに老夫婦が住んでいた。その老夫婦のお婆さんのほうは、足が悪くほとんど寝たきりの状態だったんだが、夫がほとんど身の回りの世話をしていた。
そんなある日、夫が用があるといって外出した。ところが、夫はいつまでたっても帰ってこない。まちわびた妻は、思い切って夫の外出先に電話をすることにした。
それが間違いの元となった。
足が悪かったせいもあって、妻は手すりにつかまりながら階段を下りて、下に置いてある電話へと向かおうとしたのだが、階段から足を踏み外して転げ落ちてしまった。
仕事をすませた夫が帰ってくるとそこには、見るも無残な妻の姿があった。
夫は急いで救急車を呼んだのだが足の病気に何時間も放置されていたということも重なって妻は死んでしまった。」

「俺の話しは、とりあえずこれで終わりだ」

「それで、その後夫はどうなったんだ?」とCが聞くのだがBは「さぁね。俺には分からない」と言うばかり

僕も「どうしてだよ。ぜんぜん怖くなぞ、しかもとりあえずってどういう意味だよ」と聞くと、「いいか、この話しを聞いたら、少なくとも一週間は布団から足を出して寝てはいけないんだ、もしも破ったらとんでもない災難が降りかかるからな」

しかし、どうしても信じられない僕は、1週間後にこの近くの喫茶店で合うことにしようということになった。

そんなわけで今に至ったわけなのである。
そして1週間たった朝、僕は自分の部屋のドアを叩く音で目が覚めた。
そこにいたのがBだった

「どうしたんだ」と聞くとBは「Cが死んだんだ」と言い出した。「まさか」「そのまさかだよ」

話を聞くとCは1週間布団から足を出して寝ていたそだ。さらに僕らを驚かせたのは1週間前に学校の校舎をバックにとった写真だった

そうCの後ろには、見ず知らずの老婆が、こっちを見てあざ笑っていたのだ

みなさんもこの話しを聞いたらご用心したほうがよろしですよ。現に私も足に怪我を負ったのですから

読んだ後思いっきり後悔しちゃったよ。念の為今から1週間足隠して寝なきゃならん。蒸し暑いってーのによう

−終わり−

布団から足を出して寝ると足を斬られると言う話もありましたっけ

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