●怖い噺 壱


□背の高い女
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怖いと言うよりも不思議というか、変な話

私が中学に上がったくらいの頃、市のバイパス沿いにショッピングタウンができた

地元は田舎で、ほぼ畑の真ん中に建ったと言っても過言ではなかったが、交通の便が国道よりも良く
我が家を含め住宅街の住民は商店街や大型スーパーまで買い物のために坂を下らなくても良くなったため連日多くの買い物客が来ていた

大方の買い物を済ませ、衣料品店で私と母はぶらぶらと店内を見て回っていた

めぼしい商品も見つからず、そろそろ帰ろうか、と店を抜けようとしたときだ

私は出入り口近くの商品棚の向こうの人ごみの中に、背の高い女性を見かけた

その高さが異常だった

他の客は商品棚から顔が見える程度なのに対し
その女性は胴体から上が見えていた

さすがに見間違いだろうと私は目をそらし、母について店を出ようとする

しかし、彼女のことが気になって仕方がない

店を抜ける直前、その女性とすれ違った

本能的に見てはいけないような気がして直視はしなかったが
視野の端にすれ違う彼女が見えた

私の目の高さにあったのは、彼女のすらりとした太ももだった

当時の私の身長は150cm前半
一般的な中学の女子生徒としては標準より少し低めだったが
さすがにそんな足の長い人間
ましては女性など居るはずがない

もう一度見て確かめたいという好奇心に耐えきれず振り返ったが
店内にそんな人はいなかった


今となっては幻覚か何かの類だったのかもと思うこともあるけれど
夢じゃないのは確かです

−終わり−

異常に背の高い女性と聞くと
八尺様が思い浮かびますね

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