●怖い噺 弐


□テトラポット
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高2のときの話です

私は1年生のときのクラスメイトを誘って他県に2泊3日で海キャンプに行く計画をたてました

一学期の半ばからみんな誘ったのですが結局来たのは15人くらいだったと思います

キャンプ初日私達は高速バスに乗りキャンプ場に着きました。そこはかなり広い所で普通の海水浴場やキャンプ場等が集まった海浜公園で私達は大きなロッジに泊まることになっていました

現地には昼過ぎ頃着いたのですがロッジのチェックインが2時か3時だったのでしばらくは荷物を置いて泳ぐことにしました

そこは日本海で遠浅なので足が届かなくなる辺りからちょっと泳ぐとテトラポットで作られた防波堤まで行けます数人で防波堤まで行き上に乗って話していると砂浜から監視員がメガフォンでテトラポットに乗っている人!早く降りてください!!と絶叫します

あまりに怒るのでバカな高校生だった私達は何回も乗ったり降りたりして監視員を怒らせていました

しばらく海で遊んだ後いい時間になったので
計画の発案者として私ともう1人友人でロッジのカギを借りに行きました

受付は結構若いお姉さんだったのですが私達を見ると「あ、さっきテトラポットに乗って怒られてた人たちでしょ?」と言ってきました

覚えられていたことと話題があることで話しやすかったので「見てたんですか?あの人ちょっと怒りすぎじゃない?」と話を膨らませました

「ん〜、あそこはね〜。」とお姉さんは言いたいけど言ってはいけないことがあるかのような口振りでした

何かあったのかとしつこく食い下がると特別と言うことでお姉さんは話してくれまた

以下お姉さんの話をまとめたもの
昔は今ほどテトラポットに乗ることに対して厳しくなかった。ある日私達のように泊まりに来ていたカップルがテトラポットに乗っていると高波がきて男はテトラポットにしがみついたが女は一度波にさらわれ、次の波でテトラポットに打ち付けられ流されて死体は上がっていない
噂では打ち付けられた女は半分脳みそが出たような状態で男に「助けて」と言いながら流されていった

それ以来そのテトラポットに乗っていて波にさらわれて死ぬ人が増えた

さらわれなかった人や助かった人で助けてと言う女の声を聞いたり、脳みそが出た女を見たと言う人がたくさんいる

海浜公園としては死亡者が出るのも幽霊まがいの話が広がるのも好ましくないのでテトラポットに乗っている人がいたら厳しく注意してすぐに下ろすことにした。と言うことでした

そんな話を聞いてクリアファイルにロッジ使用上の注意事項とロッジが集まっているとこの地図が挟まった物を受け取り注意事項を聞かされ、私達のロッジAー8号の場所を地図で教えてもらいカギを受け取って事務所を出た

そのキャンプは女の子も来ていたので今の話は怖がる奴もいるかもしれないししばらくは黙っておこうと友人と決めて皆とロッジに行った

1日目はバーベキュー等をして2日目も夕方まで泳いだ

2日目の夜に外で食べたり飲んだりしながら皆で話していたが暴露大会もネタが尽きてきて怖い話をしようと言うことになった

結構盛り上がったが怖い話もだんだんネタが尽きてきた。そこで明日には帰るしもういいかと言うことになり私といっしょにカギを借りに行った友人は前日に聞いた話をすることにした

話が終わった直後に懐中電灯を持った警備員らしき人が来て「Cー16号ってここですか?」
と聞いてきた

それを聞いて私は少しドキッとした。
私達の中の1人がクリアファイルの地図を見ながら「Cー16ならすぐそこ、隣ですよ」と答えていたがそれを聞いて私は思わず「そのカップルが泊まってたのCー16らしいんだけど」と言ってしまった

別にそれがどうしたと言う話なんだけどそのときはなぜか皆パニックになってロッジに駆け込んだ

私はお姉さんからカップルが泊まっていたロッジを聞いていたがAとCだから遠いだろうと思い込んで気にしていなかった。しかしロッジの号番号の最初に付いているアルファベットは、部屋の大きさを表すもので場所は関係なかった。ロッジに入りしばらくして落ち着きを取り戻してきたころ

「でもさっきの警備員なんでCー16の場所なんか聞いてきたんだろ?誰も泊まってないのに」と言いだした

すると別のやつが
「いやいや泊まってたよ。なんか怖いけどカップルが昨日からいたじゃん。」と言う

するとまた別のやつは
「泊まってなかったよ。俺まわりに誰もいないから騒げるなって思ったし」と言う

皆に聞いてみると泊まっているカップルを見た派と誰も泊まってない派は半々くらいだった

そんな話をしているとまた怯えだした女の子が「あの窓怖い。誰か閉めてきて」と言いだした

そのロッジにはカーテン、網戸が付いた出入りできるくらいの大きめのガラス窓と網戸だけ付いている木でできた小窓があったのだが小窓はCー16側に付いていた

大きめの窓は網戸が少し破れていて虫が入りそうだったのでガラス窓もカーテンも閉めていたから小窓まで閉めたら、暑すぎると言う奴もいたが閉めてと言った子の怯えが伝染して閉めて派が増えたので全然怖がってなかった奴がしょうがなしに閉めに行った

そいつは小窓の近くまで行くとバタンと勢いよく小窓を閉めて走って戻って来た

「カップルいた!なんかベランダで2人でこっち見てる!電気も付けずに並んで見てる」


そんなことを言いだした

女の子たちはさらに怯えたが男はほとんど
お前そんな嘘つくなよと言う雰囲気で2人が小窓を見に行った

そいつらも小窓をちょっと開けると勢いよく閉めて戻って来た。見えたらしい

男は全員見に行ったが私を含めた2人以外は全員カップルが見えた

泣き出す女の子もいて部屋は異様な雰囲気になりみんなで小窓と反対側の壁の近くに集まっていた。これマジでやばくない?とか話していたら1人が「なんか音がする」と言った

皆静かになると確かに小窓の外の方からズルリズルリと何かを引きずるような音がする

皆で音から逃げるように壁に張り付いていた

すると音はロッジを回って私達が張り付いている壁のほうにやってくる

皆なぜか静かに音から遠い壁際に移動した

すると音はさらに私達のほうに回ってくる。ロッジの中を静かに音から逃げ回っていたが
音はどうやらロッジのまわりをぐるぐる回っているらしい

私達はロッジの真ん中に集まりなぜか静かにしていた。その音は一晩中ロッジのまわりを回っていた

たまに壁をすごい勢いで2人か3人で叩くような音がした。女の子は皆しくしく言っていたし男も皆半泣きだった何時間かたつと音はCー16のほうに帰って行った

それから少ししてカーテンの隙間から朝日が入ってきたので朝まで音は回っていたようだが音が回っていた間誰も寝なかったし話さなかった。朝日がさしてしばらくして誰かが

「早く帰ろう」と言った

その言葉に皆我に返ったかのように急いで荷物をまとめ前日出しっぱなしだった外の片付けもほとんどせずに急いでカギを返した

出しっぱなしだった懐中電灯やガスコンロは置いて帰った。親に怒られた

高速バス乗り場まで行く市バスを待つためのボックスみたいな所でも誰もしゃべらなかった高速バスに乗ると私はすぐ寝てしまったので皆の様子は知らない

−終わり−

人の注意はきちんと聞きましょう
それと、持ってきた道具はきちんと持ち帰りましょう
ロッジの管理人さんが大変そうですから

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