●怖い噺 弐


□おおいさん
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おおいさんってのが何者なのかわからんけど地元のコンビニバイトの間ではかなり有名

おおいさんって名乗った客が着たら目を合わすなっていう先輩からの指示を受けてコンビニでバイトをしていた俺はそれを数日間は覚えていたものの忘れてしまってた

3ヶ月ぐらいたって結構慣れてきたときに後輩が入ってきた

後輩に仕事を教えて結構楽できるようになった

その後輩と二人で夜勤に入った日にバックで俺はタバコを吸いながら廃棄予定の弁当を食べてた
その時に防犯カメラの映像をみると3人の中学生ぐらいの子供が立ち読みしてるのみで後輩はレジの前で注意深くそいつらの動きを監視してた
万引きを防ぐ為に

俺も3つある切り替えボタンを操作しながら店内の様子を見てた
すると後輩がいきなりレジの前で誰もいないのにペコペコしてる
何をしてるのか不思議に思っているとバックに居る店員を呼ぶブザーを押した

瞬時に俺は「あ、万引きしたな」と察してバックから出て行くとレジの前におじさんが立っていた

万引きの合図の後に来た客かなと軽く考えつつ「いらっしゃいませー」と大きな声で言うと客がいきなり「こんにちはー、おおいさんです」と言い出した

何言ってんだ?とは思うものの後輩が手招きをしてくる
近くまで行くと「おおいさん出ましたね。店長が言ってた人ですよ。目をあわすなって」
と言われて急に思い出した
幸いおおいさんは俺が後輩に呼ばれるまで後ろを向いてたので顔は見なかったが
おおいさんは「えっとねーマイルドセブンとこのガムとから揚げ頂戴」と言って来た

レジ打ちを後輩がしてる間に俺はタバコを取って、から揚げを袋づめした

するとおおいさんは「あとねーどっちかの命ちょーうだーい」と冗談で言って来た

こわ!と思いつつ
「申し訳ございません、当店では取り扱っておりません」と頭を下げて冗談を受け流すように言った

すると「あそこの3人のうちの一人でいいよー。いのちちょうーだーい」と言い出した

中学生3人は聞こえてないのか雑誌を読みながらガヤガヤしてた

俺と後輩はどうしていいのか分からずに困ったなぁとお互いを見ながら
「申し訳ございません、彼らは商品ではございませんので」と言うと
おおいさんは笑いながら
「ははは、じゃぁ全部もーらーおっと」と言ってお金と変な針金細工を三つ置いていった

次の日店長と俺より前に入ったパートのおばちゃんにその話をしたら
「なんてことを…おおいさん何か置いてった?」というので預かり品としておいた針金細工を持ってきた

これはおおいさんが次来たら返しなさいということなのでそれをバックに持っていって分かりやすい位置に置いていた

それから次の夜勤の日
バックから涙目で後輩が出てきた
何事かと聞くと針金細工がウネウネと動いているという
そんなバカな話あるかと見に行くと3つともまるでミミズが這うかのように動いていた

それは数日しかも夜のみ動いた
他の夜勤の先輩達もそれを気持ち悪がった
数日後に一つのウネウネがピクピクと動きを弱めだした

その日近くの交差点でバイクと車が衝突事故を起こし中学生が一人死亡した

ニュースにもなったのだが車の運転手は暴走行為をしていたバイクの前に誰かが立ったのでバイクが急ブレイキをかけてこちらに突っ込んできたと言っていた

次の日の夜先輩と店長が夜勤の日おおいさんがきた

それをきっかけに細工3つを返して「もうしわけございませんが…」と説明し返した

その時の先輩の話では、おおいさんは少年の首を持って入ってきたらしい

店長もそれを見てびびっていたらしい
店長に言われてバックに針金細工を取りに行った先輩はカメラに移る少年の体のみをみたらしい

体はレジの前の下を何かを探すように撫でていたらしい
そして、カメラには店長以外には移ってなかったと

他のコンビニで働いてる友人や深夜までやってるレンタルビデオ店でバイトしてる友人も
おおいさんの話を知っていた

どこのコンビニとかでもこういう話ってあるのかね…

−終わり−

…これって この話しを知っている店員のが助かる確率高いよね
数人お客がいて「あの人たちの命ちょうだい?」って言われて店員が「どうぞ」って言ったら…
あぁやだな…

僕コンビニで働こうかな…でもコンビニで働く八雲なんて…想像出来ないな
似合わない…

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