黒崎眞弥詞1

□白濁セシ蝶
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なまめかしく舞ゐ踊る蝶は 張りあかす
見えざる意図に掛かり
ふと目がおどろき朦朧なる中 今か今かと蠢き犇めく影が

なかなかなる偽善の塊 一筋の月明かりのみが
差し込む薄暗き部屋にて唾液に塗れてゆく

白濁せし雨に打たれて 羽根は塗れ雁字搦めに藻掻き

しどけなき敷布に衣類 頬を伝う泪に乾きし痕
纏わり付きし痛みは消えず 毟られ舞ふ羽根が

ひとつ 悲鳴に拒絶の言葉
ふたつ 屈辱 羞恥の裏側
みっつ 快楽に泣きつつも溺れ
よっつ 其の憎しみ忘るるなかれ

絲轢く指に絡み付きし 悶え軋み揺らめく肢体
擦るる度に薄洩るる吐息 浸食されてゆく
なかなかなる偽善の塊
一筋の月明かりのみが
差し込む薄暗き部屋にて 唾液に塗れて逝く

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