酒井参輝詞2

□蛾眉ノ蛹ハ羽化ヲ知ラズ
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ぼんやり浮かぶ曲線の淵をなぞる指 夢見心地の水面に揺蕩う蜉蝣よ
風が誘いゆらめく意識に吠える夜 後に残った波紋の影が刺の様に

崩れてく 壊れてく 遠のく調べ
欠け落ち 剥がれ落ちた 何時かに爪を立てる

僕は僕を脱ぎ捨て僕の知らない僕が顔を出す
失くしたのは僕か…僕の形をした何かだったのだろうか…

置き去りの宵 ぽつりと願うは

「時よ止まれ」

光が僕を生かし…僕を殺す

焼け付く痛みが僕を起こす

崩れてく 壊れてく 遠のく調べ
欠け落ち 剥がれ落ちた 何時かに爪を立てる

僕は僕を脱ぎ捨て僕の知らない僕が顔を出す
失くしたのは僕か…僕の形をした何かか…

明くる日には僕は僕を忘れて僕として生きる
満ちていた大切な何かが欠けて僕がいる

ゆらゆら揺れて…

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