酒井参輝詞3

□転生輪廻
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何時の間にやら此処に堕とされ
溺れかけの命を抱きかかえて
生温い手に引かれて ただ列を成し歩むだけ

生を拒めば罪 死に抗えば罰

牛と馬の番が手綱握る

獄の門が今 その口を開く

「おかえりなさい」

その声が突き刺さりちらついた面影
私に良く似た
私とは非なる
私を成した罪の箱

見境無き悪食

また誰かの罪を一つ貪り現で苟且の罰を受ける
私の罪は誰が喰らうか

気が付けばまた此処に堕とされ 堂々巡り

「転生輪廻」

望まぬ命と嘆き ただ列を成し歩むだけ

名も知らぬ種一つ膨れ弾けた怨みの落とし子

獄の火に焼べた命 誰の罪を唾吐く篝火
次に私に捩じ込まれるのは
「何時」の
「何処」の
「何方」の
「何」か?

見境無き悪食

廻り廻る 巡り巡る
罪と罰に生かされた飼殺し故
餌に媚び諂う

絶え間の無い既視感に襲われ 何処かで見た何時かを彷徨う

賽の河原で積み重ねてきたその石を自ら蹴散らせるか
生き疲れただろう…死に疲れただろう…己を殺し疲れただろう…
それでもまだ誰が為に生きて死んで己を殺し続けるか

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