酒井参輝詞3

□伽藍堂
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「私」を満たして 「私」で満たして 殻の中は空の身体
故に浮遊月の様に 揺蕩うばかりの意識 命の重さは微塵も無い
姿形は其処に在れどソレを何と呼ぶのだろう
膨らんだ夢想もただの無相 何も無い
「私」は伽藍堂

後ろ向いたつもりも目を背けたつもりも
背中見せて在らぬ方へ逃げたつもりも無い
愚直に上の空 虚空を眺めては…
「私」を置き去り 「私」は「現」を貪る
咀嚼も出来ぬ程脆く 砂を噛むかの如く

「現」で埋めれば 「現」に染まれば 殻の中はカラカラと鳴る
故に何処に行く事も無く 但し何処にも辿り着かない 命の重さは微塵も無い
姿形が崩れぬ様 人の棘に触れぬ様に
膨らんだ夢想に剃刀を…何も無い
「私」は伽藍堂

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