@<薄桜鬼>

□道標
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伊東さんがやって来て、左腕のことを指摘された山南さんの様子は私も気になっていてある夜。
ふと、目が覚め外の方を見ると千鶴ちゃんが出歩いているのを見かけて外を見ると山南さんを付けているようだった。

前川邸の方に向かっているのを確認し私も急いで着替え一先ずトシの部屋へ向かう。


「トシ今良い?」
「おうまゆ子かどうかしたのか?」
「ちょっと気になることが。」
「まあ入れよ。」
「ごめんねこんな時間に来ちゃって。」
「いやそれで?」


「実はさっき千鶴ちゃんが山南さんをつけているのをみたの。
前川邸に向かってるようだった。」

「何?」

「山南さんまさかあの薬を使おうとしているんじゃ。」

「かもな…俺らも、前川邸に行くぞ。」

そう言い立ち上がった時だった。

「誰か誰か来てっ!」
千鶴ちゃんの悲鳴にも近い声が聞こえ私たちは顔を合わせ走り出した。
皆もその声は聞いていたようで、最終的に幹部皆で前川邸へと向かい羅刹化した山南さんを総ちゃんと一くんが取り押さえた。

トシが刀を払ったことで安心したのか千鶴ちゃんは気を失い。

私は、千鶴ちゃんをトシと二人彼女を部屋まで運び気付いた彼女から事情を聞いた。


山南さんから全てを聞いたという彼女をトシはまだ殺さないと判断をした。

彼女との会話を聞いた後縁側に腰をかけて珍しくボーッとしている、トシの隣りに座った。


「大丈夫?」

「なあまゆ子。」

「ん?」

「やっぱり俺は甘いって思うか?」

「千鶴ちゃんの事?」

「…ああ。」

散々トシはあの人に芹沢さんに鬼になりきれてない。
甘いと言われて来てもちろんトシだってそれは分かっている。

だからこそ私は言ってあげたい。

「本当なら殺すべきだってのは頭ではわかってんだ。
バラさないって保証はねえんだからな。」

「まあね、逃げ出さないって保証もないわけだし…だけど信じるってことも大事だと思う。
裏切られたら斬る、それで、いいんじゃないのかな?」
「ん?」
「確かに芹沢さんみたいなやり方もありだと思うけどそれじゃ人はついてこない…私なら迷わずトシについて行くよ。
トシになら命だってかけられるもん。」
「まゆ子。」
「泣く子も黙る鬼副長って言っても、所詮は人間だもん。
多少情けをかけたっていいと思うよ。」

「そうかもな。
って泣く子も黙るは余計だ!」

「え、だって事実だし。」

「うるせぇよ!」

「アハハ。」
「ったく。」
「トシはトシでいればいいと思うよ。」
「ありがとな、まゆ子。」
「私は鬼になりきれてないトシが好きだからね。」
「それは…喜んでいいのか?」
「うん喜んで?」

しばらく二人で時間を過ごした後私たちは広間に移った。
みなも朝になる頃には広間に集まって来ていてなんとも言えない空気が流れる。

ー数刻後。


「山南さん峠は超えた、みたいだよ。」
「今はまだ寝てる静かなもんだ。」

総ちゃんと源さんが戻ってきてほっと一息つく。

「じゃあ山南さん成功したのか!」
「確かな事は目がさめるまで分からんが見た目には昨日までとかわらないんだが。」
「おはようございます。」
「げ。」
「うわー。」


まるで見計らったように伊東さんが入ってきて、総ちゃんが咳き込む。
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