@<薄桜鬼>

□道標
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翌朝。
トシの部屋に足を向けたものの。

「悪いな、今からお偉いさんと話に行かなきゃいけねえんだ。
むしろそれに付き合って欲しい。」

そう言われて近藤さんと3人で会津藩邸に足を向け、難航していた取引も私が酌をし気をよくするようなことを横で言ってあげていたら気をよくしてくれたようで、うまくいったのだ。



「ったく、お前がいるといねえじゃ態度を変えやがって。」
「まぁま。」


帰り道近藤さんは用事があるとかで先に帰ってくれ、と言われ二人で歩いている。
多分気を遣ってくれたんだと思う。
ありがたくその時間を、使わせてもらおうかと思う。


「そういやなんか話しがあるとか言ってただろ今聞くぞ。」
「うん…でもいい話しじゃないから。」
「ん?
おうそれでもいい。」
「あのね。
自分から言っておいてあれなんだけど…別れて欲しいなと思ってるの。」
「え。」

「もちろんトシが嫌いになったわけじゃないし新選組を辞めたくなったとかそう言うわけじゃないんだ。
ただ以前にも少し言ったけど女としての幸せを望むようになっちゃってさ、でもトシはまだそんな気ないんでしょう?」

「そうだな…新選組も軌道に乗ってはいるがまだ安泰ってわけじゃねえし俺一人幸せになるってのもな。」

「って言うだろうと思った。」

「そいつとだったらお前はずっと笑ってられんのか?」

「うんきっと。」

「そうか。
ならそいつと幸せになれよ、お前がそう願うならな。」

「ありがとうそうする!」
「ちなみに総司じゃあねえだろうな。」
「え?
総ちゃんだったら、嫌なの?」
「嫌じゃねえんだが…お前は優しいからな情であいつと一緒になるとか言ってんなら止めなきゃな、と思っただけだ。」
「そっか。
確かに総ちゃんとは仲良しだし一緒にいて楽しいし大事な仲間だけど総ちゃんじゃないよ。
私が好きになった人は烝くんだから。」
「山崎か。
確かに…山崎とも仲よかったもんな。」

「なんか想いを告げられてから調子が狂っちゃった。」

「ま、あいつなら任せられるか。
幸せにしてもらえよまゆ子。」

「うんっ!」

「良い顔、しやがって。
それで飯のときも機嫌がよかったのか。」

「えへへ、まあね。」
「はぁしかし総司のやつにからかわれんだろうなあ。」
「え?」
「言われたんだよ、総司に。
とられたくなけりゃあ気をつけろって。」
「総ちゃんが?」
「あぁだから幸せになってくれ。
これで良かったんだって俺があいつに、言えるようにな。」

「うん分かったなるよ!」


こうして私の恋は一つ終わりを告げ新たな恋が始まった。
どこからもれたのか数日も経たないうちに私が烝くんと一緒になると言う話しはあっと言う間に屯所中に広がり。
それを機に烝くんは私の部屋へとうつり屯所内で二人で暮らすことに。

もちろんトシたちには出ても屯所を良いと言われていたが彼は監察方で私も幹部だ。

だから直ぐにでも任務につけるようにとの私たちからのお願いで引き続き屯所で過ごすことにしたのだ。


慶応2年9月。
島原。

私たちは幹部みんなとトシ、烝くん、千鶴ちゃんで島原を歩いている。
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