@<薄桜鬼>
□道標(ミチシルベ)
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「私はトシが好きなの!
だからトシに着いて行きたいっ。」
浪士組として京に上る際トシに危険なことも待ち受けてるだろうからお前はここに残れと言われたのだけど私は思わずそう言っていた。
近藤さんたちも見守る中で。
「ったく、分かった…必ずお前は俺が守ってやる。
だから一緒に来てくれ。」
「…それって。」
「いつか落ち着ける日が来たら一緒になろう。」
私はその言葉が嬉しくて彼の気持ちが嬉しくてこの世界に来て初めて泣いた。
でもみんなの前でのやりとりだったため当然冷やかされたのだけどそんなこと気にならないくらいに幸せだった。
文久3年、秋。
京に来て半年以上経ったある日。
「今日もいい天気だなあ〜。」
「おはようまゆ子。」
「あ、おはよ平助。」
「今日の朝飯何すんの?」
「あさりの味噌汁と卵焼きにしようかなあーって。」
「よっしゃあ!
まゆ子の卵焼きはマジでうまいんだよなあ今日は新八さんから死守しなきゃ。」
「熾烈な戦いになりそうだねえ。」
「何、今日卵焼きなの?」
「おはよ総ちゃん。」
「おはようまゆ子。
僕もなんか手伝おうか?」
「珍しいな総司がそんなこといいだすなんて。」
「つまみ食する気でしょう。
ダメ私の分が減るから。」
「あ、時々まゆ子のおかず少なく見えるのそれでか〜。」
「そうなのよ、酷いでしょ?」
「味を見てあげてるんだってば。」
「その割には味見の量が多すぎです。」
そんなこんなで新選組にいつもの朝がやって来ました。
いただきます!
広間で賑やかな朝食のスタートです。
「うまーやっぱりまゆ子の卵焼きは最高だなあ〜。」
「いいお嫁さんに、なれると思うぜ!」
「おっお嫁さんて。」
「俺もそう思うよ。」
「もうっ左之さんまで。」
「なあ〜土方さん!」
「うるせえ黙って食え新八。」
「そうそ!」
「照れちゃって可愛いなあ、まゆ子ちゃんは。」
「新八さんっ!」
「あ!」
なんて話してると珍しく総ちゃんが新八さんのおかずをとり新八さんの気が総ちゃんにそれる。
「総司てめえ俺の卵焼きを!」
「黙って食べなよ新八さん。」
「てめえのせいだろう総司!
表にでろ!」
「ちょっと卵焼き1つでそんな。」
「いいやまゆ子ちゃん食べ物の恨みは後々まで尾を引くんだ。」
「って言ってる新八っつあんが一番恨まれることしてんじゃん。」
「だなあ〜人のこと言えねえぞ?」
「左之おめえまで裏切るのかっ!」
「裏切るもなにも。」
「そうだよ新八さん私のあげるから、落ち着いて。」
「いいのかまゆ子ちゃんっ!
優しいなあまゆ子ちゃんはよ〜。」
「大袈裟なんだから新八さんは。」
おいおいと泣くそぶりをみせる新八さんに苦笑しつつ人気の卵焼きではあるがしばらく封印しよう。
そう思った瞬間だった。
洗い物を済ませてひと段落したところで私は総ちゃんを探した。
珍しく機嫌を損ねていた総ちゃんが、気になったのだ。
道場で一心不乱に素振りをしていた総ちゃんをじーっと見つめていると。