@<薄桜鬼>
□道標
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文久3年、冬。
ある日いつもの日々に変化が訪れた。
失敗した隊士たちが前川邸から、逃げ出した。
一くんと総ちゃんが処理はしたそうだが蘭方医雪村綱道氏の娘さん雪村千鶴だとわかり一先ず殺さず新選組預かりとすることになったのだ。
「ハイどうぞご飯だよ。」
「すみませんいただきます。
あの1つ聞いてもいいですか?」
「良いよ。」
「まゆ子さんも新選組の方、ですか?」
「ああ気になっていた?
これでも私4番組組長やっています。」
「幹部のお一人なんですね?
なんで女性の方がいるのかなって気になっていて。」
「近藤さんが試衛館道場やってたときからの付き合いだからその情けで連れてきてもらったの。」
「まゆ子はそう謙遜してるけど剣の腕はみんなが認めるほどだから。」
「へえ〜。」
「私なんてまだまだよ。」
「まゆ子。
平助たちが我慢の限界だそうだ。」
「わ、ゴメンすぐいく!
じゃあまたね、千鶴ちゃん。」
「はいっ。」
そんなある日珍しくトシが私の部屋を訪ねて来た。
「まゆ子、いるか?」
「トシどうかした?」
「出かけるぞ。」
「え、あ、ちょっと待って。」
これは所謂デートのお誘いなのでは、なかろうか。
京に来てから、いや付き合い初めてから始めてのお誘いだ。
嬉しくて、トシに駆け寄る。
「どこ行くの?」
「市だ…女は買い物が好きなんだろ?
いくらでもつきあってやる。」
「良いの?」
「京に来てからも色々あったし女らしいことさせてやれてないしな。」
「ありがとうトシすごく嬉しい!」
笑顔を見せるとトシの穏やかな笑顔が返って来た。
私は、トシのその笑顔が一番好きだ。
「可愛いなあ。」
久しぶりのプライベートな買い物は楽しくて、色んなお店を見回った中で1つ欲しいなと思ったものに出会った。
文鳥がデザインされているストラップ…この時代でいう根付だ。
ただ木を掘られたもので少々値がはり今の持金はあるにはあるがギリギリで、しばらくにらめっこはしていたが諦めようとしたのだが。
「これを1つ。」
「まいど。」
「ん。」
「あ、いや悪いよ。」
「良いからもらっとけ。」
「トシ…ありがとう大事にするね。」
「お前には雑用やらなんやらも任せっきりだしな。
よくやってくれてる褒美だ。」
嬉しい幸せだ、だけど。
でも、なんかトシらしくないような。
「ねえトシ1つ聞いて良い?」
「ん?」
「今日市に〜、ってくだりも多分トシが思いついたんじゃないよね?」
「…ったく相変わらず鋭いなお前は。
ああ近藤さんと山崎に言われたんだよたまにはお前との時間を作れって。」
「近藤さんはわかるけど烝くんまで言ってくれたんだ。」
「宮本さんは甘えたりされることはないと思いますがきっと副長との時間が欲しいそう思われてると思いますってな、大事にしてあげて下さいと言われたよ。」
「烝くん。」
「けど女が喜びそうなことってさっぱり分からねえから近藤さんに相談したら買い物とかいいんじゃないのかって言われてな。」
「なるほどね。
帰ったら二人にお礼言わなきゃ。」
「俺も久しぶりに息抜きになったよ。」
「なら良かった…働きづめだったもんね副長になってから。」
「それが俺の役目だから苦には思わねえがたまにはな。」
「あまり無茶はしないでね倒れちゃ元も子もないんだしさ。」
「分かってる。」
その後ももう少しお店を回ったあと。