漆黒の蝶の魔女
□chapter.02[赤い糸]
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じりじりと、アスファルトを太陽が照りつける。
九月の半ば、だというのに、残暑が厳しく、冷房の効いた場所から外に一歩出るだけで、くらっと目眩を起こしそうな、うだるような暑さだ。
コンクリートジャングルに変化した街を、一羽の黒い蝶が飛ぶ。
無数の大きさの異なるビル群を抜けると、 やがて緑が濃い場所にたどり着く。
しかし、その場所も少ししかない。
地面はコンクリートのままだし、車だってひっきりなしに走っている。
地面からは太陽を浴びた地面が熱を放出し、その向こうに見えるのは、ゆらゆらと揺らめく蜃気楼。
黒い蝶は、空高く飛び上がり、やがて消えた。
[赤い糸]